彼の動きはまるで精密機械で、
うすのろな私は到底逃げられない。
そこかと思えばもうこちら。
行く手を阻んではノコギリ歯で私を突き落とす。

いっそのことひと思いに食べてくれればよいものを、私のカラダは歯形でいっぱい、あなたは何度も繰り返し弄ぶ。

あなたは蜘蛛。

ドSなのか、殺る勇気がないのか、
腹が減っていないのか、遊び相手が欲しいだけか。


親切で野暮な人間が、窓を開けて私を逃がしてくれた。

また窓が開くとき、私はきっと戻るだろう。
タイルの目地でひっそり、ドキドキして、
不器用なあなたを待つのだ。


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