立方体のガランドウ、サッシがぐるっと一周している真っ白い

部屋の隅に猫足のバスタブ

私は一人、入浴中である。

天井は高く、だだっ広い空間を湯気だけが埋めている。

ガタガタガタガタッ

バスタブのあるのと反対岸のサッシを、おそらくデカイ鳥のような奴が開けようとしている。

まさか、まさか、入って来る気じゃ…

鳥のような奴のクセにそいつは器用に引き戸を開け、当然のように侵入、ヴァサッと着地した。

マジでマジでマジで怖いからー‼
こっち来んなー‼ヒーーッ‼

ヒタヒタ歩いてこっちに向かって来る。…なんだか、鳥の着ぐるみの中身がオッサン、みたいだ。

オッサンにしろ、鳥にしろ、こっちに来んなー!

トンッ

軽く床を蹴り、低空飛行でダイレクトにバスタブまで飛来、まるで幼馴染みの家にファミコンしに来たみたいな気安さで、バスタブにザブンと入って来た。

鳥らしく、羽をバッサバッサやっている。
いや、本当に迷惑だ。

四方から射し込んでいた明かりが急に遮られ、
向こうの窓に見えたのは、鳥の目玉とクチバシの一部。
サイズを換算すれば、ざっと大怪獣ガッパの10倍くらいか。
目玉はいぶかしげにこちらを睨んでいる。


「そぉかぁー、入浴中のこいつはあんなに大きくなるのだな!優しくしよう!」



おしまい