「君は、ガラクタばかり集めて生きて来たんだね。」

わたしの部屋を片付けながら、あなたは言った。

わたしにとってはどれも愛おしい宝物だったの

バネの延びた首ふり人形
刻むのを辞めた時計
時代を間違えたゴムの恐竜
首の取れたコケシ
翼の折れたオトコ

みんなさようなら
みんなありがとう
わたしを楽しくしてくれた
わたしを慰めてくれた
我楽多!

わたしは遂に、最大の我楽多を手に入れたから、もうお別れです


「そうよ、あなたが最後のガラクタなのよ。」

今日のゼンマイは戻り切って
ソファで眠っている
ガラクタの王子よ!
本当に見つけにくい王子だったわ!


この人がガラクタなのには、理由があるの
人一倍、やさしいからなの
心が脳みその代わりをしてるのよ♪
やさしいからボロボロで
やさしいからビンボーで
やさしいから荷物が多くて
やさしいからだらしなくて
やさしいから冷たいって言われる


わたしにはわかる
わたしもガラクタだから


ガラクタ集めの旅も、これでおしまい。
ガラクタは、作る。
これからは、ふたりで。

ダンボールのお城で
ガラクタの赤ちゃんを
ガラクタな日々を
デタラメな歌を
ゴミのような愛を

わたしにとってはどれも愛おしい宝物になるの



おしまい


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