バリの舞踏とバレエをもとに創作されたオリジナルダンスカンパニー、バリアージ(則枝千絵)の公演
 能の相舞の作品“二人静”を題材に、戯曲化しお芝居として能楽堂の舞台での上演。
 鳴り物が、阿波踊りのお囃子、笛、クリスタルボウル、三線それから唄
 衣装はバティックを思わせる柄、
 舞はバリ舞踏と、バレエを基礎としたオリジナル
 セリフは古典文語
 と挑戦的な舞台。
   

 “二人静”や“安宅”をミックスした演劇仕立て。
 セリフは、古語で意味は分かりづらいですが、響きとリズムがとてもきれいで、演奏のようにも聞こえました。
 フィリップ・グラスのオペラ“サティアグラハ”であった、サンスクリット語の美しい響きの歌詞がストーリー進行とは関係なく歌われていたような効果がありました。

 舞は、膝を折って中腰で手と首の動きが特徴的なバリダンスと、膝を伸ばしたモダンダンス・バレエの振り付けを使い分け、非常に印象的な踊り。
 バリの舞踏団の中にもストラビンスキーのバレエの要素を取り入れているところもありますが、これと似たテイスト。
 特に相舞の振り付け、パフォーマンスは見事でした。

 4人のダンサーによる終盤の舞は神楽。
 鳴り物のリズムと響きが能楽堂を満たし、にぎやかに舞台の舞を際立たせていました。

 キリアンはパリオペラ座バレエで、かぐや姫題材に太鼓や雅楽の演奏でミニマリズム風の作品を作りましたが、こちらは能の舞台で、能のミニマリズムとは対極の盛りだくさんな演出。

 挑戦的な舞台だけに、再演してブラッシュアップを続けてほしい舞台です。