能・日本舞踊・コンテンポラリーダンス・花生け・和太鼓・西洋楽器が融合した古事記に題をとったパフォーマンス。

 

 “舞台「一粒萬倍」は、私たち日本人の原点である、お米(稲穂)と神話をテーマにした物語です。創世の神々の誕生を大鼓と鼓の音で表現すること、イザナギ・イザナミの國生みからアマテラスの誕生、天の岩戸隠れ、五穀の起源、稲穂の地上降臨までを音楽、舞踊、生け花で表現しています。 脚本・総合演出・松浦 靖 公演ブックレットから”

 

尺八の起源と言われる真竹の節が一つの“一節笛ひとよぎり”の演奏で始まり稲穂の舞。

 音楽は鼓、大鼓、尺八、和太鼓、琴、チェロという編成。

舞踏はバリ舞踏とコンテンポラリーをフュジョンしたオリジナル舞踏バリアージと、花柳流と藤間流の日舞。

 衣装は着物ドレス。。。

 日本の古事記の国生みは、民族・宗教を超えた普遍的な“創世記”。

 一神教以前のプリミティブな自然宗教は、“現れた”最初の“神”から次々を生まれる神々と“めぐみ”。

 

 この創世記を、日本の古典芸能を中心に、則枝千絵の振り付けでバリアージが着物ドレスを纏い表現することによって、普遍性が明らかになる。

  この世と黄泉の国を分かつ黄泉比良坂のイザナミの舞は生と死、闇と光を分かつ。

 日本舞踏の藤間直三と花柳美喜は、古典を基本にしつつもその枠を大胆に飛び越え、ダイナミックで華やかなスサノオとアメノウズメを表現。

 

 幕切れは着物と着物ドレスの稲穂の精たちが舞台から客席へ、地上へ降り立つ。永遠を感じさせる循環する音楽の中、高みに残った稲穂の精は未成熟な両性を感じさせる微笑みで世界を見守り、豊穣を予言する。

 芸術とエンターテイメントが融合した奇跡的な舞台を見る事ができて、興奮で眠れない夜でした。

 

 Bravo! Brava!