とある田舎町の とある小さな商店街に


【魚屋 みん 】と書かれてる看板が・・・


このお店の店主・・・ユンホ。町の人からは、ユノと呼ばれ町の人たちからも頼りにされ、老若男女問わず人気がある店主なのです。


どんな事にも誠実に対応する。それは幼い頃にユノが教えられてきた、生きてゆく為の大切な事だと・・・


だから今日も、ユノの周りではいろんな事が起こります。









【魚屋 みん 】の店先に、ずぶ濡れになりながらしゃがみ込んでる青年に、店の中に入るように言ったユノ・・・


「・・・僕を飼って下さい。」
「いやいや、それとこれとは違うから。」


二人が話す間も雨は降り続き、時折暗い空にピカピカと稲光が光って見える。


困った眉をした青年が諦めて店から出て行こうとした時


《ダダァーーン!!》という雷の音と光りが同時に鳴り響き、窓のサッシもガタガタガタと震えた。


「うあぁーーー!!」


その音と光りに驚いた青年が、ユノの傍に走り寄り抱きついた。雷の音で男に抱きつかれるとは思ってなかったユノも


「えぇぇ!!な、なにぃーーー?!」


同じ位の大きな声で叫んでしまった。


多分女の子なら、華奢な肩を優しく抱きしめる事が出来ただろうが、抱きつかれた相手がまさかの男だから宙に浮いた腕は万歳をしたままでいた。


だいぶ自分の気持ちにも落ち着きが出てきたユノは、顔だけ下を向けてみた。


《なんだこいつ…意外と肩が狭くないか? ってか、男の割りに華奢だな…こんなんでホントよくこの雨の中いたよな…》


雷の音は次第に遠く小さくなっていくが、ユノの体にまだしがみついてる青年の震えが少しずつ収まるまで、ユノは黙ったままその場日中座っていた。


《 飼うって…余裕があれば雇ってやりたいけどさ…》




ユノが働く魚屋は小さく、ユノがお祖父ちゃんから引き継いだ店なのだ。
出来るだけ新鮮な素材をお客さんに届けたいと言うお祖父ちゃんの意思を受け継いでの店で、日中は、年老いてなかなか店にまで足を運べないお年寄りの家に届ける事がほとんどで、この困った眉をした青年を雇う余力は残ってないのだ。


《 はぁ・・・なぁ爺ちゃん、どうしたらいいのかな?俺・・・》


雷の音が聞こえなくなっても、
外の雨はまだ止みそうにもなかった。