そして昨日7月29日(月)、区民生活委員会が臨時で開かれました。
理由は、西荻窪地域の複数の商店会が共催して実施した「ハロー西荻」及び「西荻おわら風の舞」というイベントに関し、以下の問題が発覚したからです。
【区の調査によってわかった不正】
①領収書の偽造
②協賛金の未計上
この不正が原因となり、今年のハロー西荻も、西荻おわら風の舞も中止となりました。
子供達が楽しみにしていたお祭りが、大人達による悪意に満ちた不正により中止になるとは…。
恥ずかしくて、子供達に説明できませんね。
以下、問題の概要を見ていきます。
①領収書の偽造…
支払先から白紙の領収書を貰い、自ら水増しした金額を記入するといった悪質な方法により、「西荻おわら風の舞」において、平成26年度から30年度まで毎年度1通の計5通、「ハロー西荻」において、平成30年度1通の偽造が行われていた。
②協賛金の未計上…
イベント開催に際して得た協賛金は、イベント収入として補助金の対象経費から差し引かなくてはならないところ、平成26年度から平成30年度までの間、イベント実施団体ではない西荻窪商店街連合会が協賛金を集める形を取ることにより、これをイベント収入に計上せず、補助金を不正に多く受給していた。
(しかしながら、西荻窪商店街連合会が協賛金を集める用紙には、『ハロー西荻の為』という主旨の記載があった。
→実質、西荻窪商店街連合会≒イベント実施団体であるハロー西荻実行委員会なのでは?)
因みに、協賛金をめぐっては、平成26年度当時、収入として計上すべき協賛金の基準について、都区間で解釈の相違が生じたことがあった。
結果的に杉並区は都の考えに従い、「ハロー西荻」をはじめ、収入未計上の協賛金があった平成25年度のイベントに対する補助金の一部を、東京都に返還した。
…問題の概要は以上です。
つまりは、平成26年度にも協賛金を東京都に返還しているにもかかわらず、懲りずに協賛金の不正を毎年重ねてしまったということです。
何故ここで犯したミスを活かせていないのか、疑問が残ります。
次に、事態の経過を示します。
【経過】
《平成30年》
・5月
区民の方から、西荻窪商店街連合会(補助金を不正受給した団体)の領収書偽造について杉並区に報告あり→杉並区は動かず
・10月3日
小林ゆみが第三回定例会決算特別委員会において、町田市を例に取り補助金不正受給について一般論として質問→杉並区は動かず
《平成31年》
・4月 東京都から不正の可能性について杉並区に指摘あり。
ハロー西荻、西荻おわら風の舞に関する調査を区が実施→不正受給の発覚。
東京都と事実確認等。
・5月以降 東京都に調査結果報告・都区対応協議
・7月10日 東京都から杉並区への補助金交付決定取り消し・補助金返還請求
…以上が、問題の経緯です。
まず昨年の段階で、区は区民の方から情報の一端を得ているのですから、そこで動いていればこんなことにはならなかったのではないでしょうか。
【問題】
さて、この西荻窪での忌々しい出来事は、様々な問題点を抱えていることがわかりました。
①悪質性の高さ
平成26年度、収入として計上すべき協賛金が計上されておらず、「ハロー西荻」をはじめ、収入未計上の協賛金があった平成25年度のイベントに対する補助金の一部を東京都に返還しました。
その際に東京都から指摘を受けていたにもかかわらず、杉並区は問題を放ったらかしにしていたところ、東京都が今回情報を入手し、事態が明るみに出ました。
このように、してはいけないことであるとわかっていながらも、長年領収書の偽造や協賛金の未計上を繰り返していたため、悪質性が高いといえます。
②杉並区の調査能力の低さ
東京都から当該事案の指摘を受けてから3ヶ月も経つにもかかわらず、東京都が掴み、メディアで報道された内容以外は、はっきりとわかる情報が無い状態です。
このような区の調査能力の低さも問題ですが、もし仮に、本当のことがわかっているにもかかわらず隠しているのであれば、(それは無いと信じたいですが、)更に大きな問題といえます。
③区に落ち度がある?
先日の区長記者会見で、協賛金について…
「杉並区の説明に問題があったかもしれないので、今回杉並区から東京都に返還する補助金と違約金(合計 24,231,723円)のうち、どのくらい西荻窪商店街連合会から返してもらうかはまだ未定。」
という主旨の発言が、杉並区長からありました。
「商店会の方々にあまり詳しく説明しなかった杉並区に落ち度があるかもしれないから、皆様の税金から補填するかもしれません。」
と言っているのと変わりありません。
何故、区内の一部の方々が不正受給した分を、杉並区が支払う(≒杉並区の皆様から集めた税金で支払う)必要があるのでしょうか。
逆に、本当に杉並区の説明が不十分だったとしたら、杉並区内全ての商店街で協賛金について不正が無いとおかしいことになります。
杉並区は自信を持って、
「しっかりと、○○の時に△△してくださいと××回説明しました。」
と答えてほしかったです。
④外部による補助金の検証が無い
今回、杉並区で内部統制が取れていない結果、このような不正の問題が噴出してしまいました。
それにもかかわらず、また内部で補助金検証委員会を設置し、関係文書の確認作業を行っています。
検証委員会のメンバーは副区長や区職員で構成されており、これでは仮に不正を見つけても、いくらでも隠蔽などの操作ができるのではないでしょうか。(そんなことは無いと信じたいですが)
それでも杉並区は「補助金検証委員会は外部性が保たれている」と委員会で言っておりました。
外部性…どこにも無いです!
⑤区民にツケを回している
現在杉並区はまだ、西荻窪商店街連合会から補助金の返還を受けていない状態です。
今度の8月1日、2日の令和元年第二回臨時会において、補正予算案を審議しますが、そこには東京都に杉並区が支払う24,231,723円については「歳出」として計上されています。
しかし、「歳入」としてその財源は載っていません。
現在、杉並区は補助金検証委員会を設置し、杉並区から西荻窪商店街連合会に請求する額を、今後そこで決めていくとのことですが…
せめて今わかっている分だけでも、補正予算案に歳入として計上するべきであったと感じます。
どうしても、「商店街の不正を区が肩代わりした(原資は私たちの区民税)」という風に見えてしまう状況であるため、歳入としてしっかりと予算計上するのがベストであったでしょう。
更に言うと、文書保存期限が5年間であるため、平成25年度以前の領収書や協賛金の書類は存在しないと杉並区は言います。
仮に、25年度以前も不正があったとすれば(そんなことは無いと信じたいですが)、それを杉並区民税や都民税から賄っていたということになってしまいます。
こんなことでは、区政や都政に対して不満が噴出することに繋がってしまいます。
⑥今後西荻のイベントはどうする?
今回の不正により、すっかり薄汚れたイメージがついてしまった「ハロー西荻」・「西荻おわら風の舞」。
子供達が楽しみにしていたイベントを利用して、大人達が金集めをしていたなんて、イメージが悪過ぎます。
しかしながら、西荻窪商店街連合会のホームページには、
「来年の開催に向けて、より愛されるイベントとして「ハロー西荻」を企画準備いたしますので、よろしくお願いいたします。
ハロー西荻実行委員会」
と記載があります。
来年は、開催するのですね…。
いっそ、一新して新たなメンバーで新たなイベントを行った方が良いのではないでしょうか。
以上、議会の様子についてと、商店会の補助金不正受給問題についてお知らせいたしました。
この問題については、またブログで書きたいと思います。
お忙しいなか最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
杉並区議会議員 小林ゆみ