iPS細胞使って血液できた マウス体内で幹細胞作製 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

iPS細胞使って血液できた マウス体内で幹細胞作製

iPS細胞(人工多能性幹細胞)をマウスの体内に入れて血液のもとになる造血幹細胞を作り出し、それを別のマウスに移植して実際に血液を作らせることに東京大の研究チームが成功した。iPS細胞を体外で人工的に培養して作った従来の造血幹細胞は、生体に移植しても定着せず、血液を作り出せなかったという。白血病など血液の難病の治療に一歩近づく成果だ。

チームの大学院生、鈴木奈穂さんによると、マウスの尾の細胞から作ったiPS細胞を、造血幹細胞への変化を促すホルモンなどとともにマウスに移植。約3カ月後に骨髄を調べたところ、iPS細胞が変化してできた造血幹細胞が確認され、正常に血液を作っていることも確認できた。

iPS細胞が体内でさまざまな細胞に変化し、その中に含まれていた造血幹細胞が骨髄に移動したらしい。

この造血幹細胞を取り出し、造血幹細胞を壊した別のマウスに移植したところ、同じように細胞が骨髄まで移動して、血液を作り出した。できた血液には白血球、赤血球を含め、すべての血液細胞が含まれていたという。鈴木さんたちはヒトのiPS細胞をマウスに移植し、同じ成果が出るかどうか研究中だ。

チームの中内啓光教授によると、患者のiPS細胞から造血幹細胞を作り、白血病や再生不良性貧血といった血液の難病患者に移植すれば、骨髄移植に代わる治療法になると期待されている。だが、iPS細胞を体外で培養して作ったこれまでの造血幹細胞は、生体に移植しても骨髄でほとんど機能しないという。

iPS細胞を生体に移植すると、造血幹細胞などのほかに腫瘍(しゅよう)もできるため、人間に直接移植するのは安全面から難しいが、中内教授は「人間の造血幹細胞をブタなどの体内で作って取り出し、安全性を確認したうえで人間に移植する手法が考えられる」と話している。
(朝日新聞)
http://www.asahi.com/science/update/0627/TKY201006260366.html





ブタが実際に使えるか何とも言えないですし、ちゃんと機能するような造血幹細胞をvitroでも作れるようになるといいのですが。。