iPS細胞から卵子・精子の元 始原生殖細胞、京大教授ら作製 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

iPS細胞から卵子・精子の元 始原生殖細胞、京大教授ら作製

ヒトのiPS細胞から卵子と精子の元になる「始原生殖細胞」を効率良く作り出す手法を、京都大の斎藤通紀教授らが確立した。今後、この細胞から卵子や精子が作れるようになれば、不妊や遺伝病の原因解明につながると期待される。
米科学誌セル・ステムセル電子版に17日発表する。始原生殖細胞は受精卵が子宮に着床した後に現れるため、母体から取り出して研究に使うことは倫理的に難しかった。
斎藤さんらはiPS細胞を使ってマウスの始原生殖細胞を作り、卵子と精子に変えて子どもを得ることに世界で初めて成功。だが、ヒト始原生殖細胞を安定して作ることができなかった。
そこで、始原生殖細胞に特徴的な遺伝子が働くと光るiPS細胞を作り、様々な条件で培養。その結果、特定の2種類の化合物で刺激した細胞を使えば、マウスと同じ手法でヒトの始原生殖細胞を効率良く作り出せることがわかった。
(朝日新聞)
http://apital.asahi.com/article/story/2015071700006.html

iPSで精子・卵子のもとの細胞を効率よく作製
人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、精子や卵子のもとになる「始原生殖細胞」を、従来の手法より数十倍も効率よく作製する方法を開発したと、京都大の斎藤通紀教授らのチームが発表した。人間の生殖細胞ができる詳細な仕組みや、不妊症の原因解明などにつながる可能性がある。17日の米科学誌セル・ステムセル(電子版)に論文が掲載される。
チームは、人のiPS細胞に2種類の試薬を加えて2日間培養し、血液や筋肉などのもとになる細胞を作った。その後、この細胞に別の4種類の試薬をかけ、8日間培養した結果、最大で約60%が始原生殖細胞に変化した。人のiPS細胞から始原生殖細胞を作製した報告例は国内外であるが、多くの場合、作製効率は1%未満と低かった。
チームでは、これまでにマウスのiPS細胞から始原生殖細胞を作製。それをマウスに移植し、精子や卵子に変化させ、子マウスを誕生させる実験に成功している。
今後は、人の精子や卵子が作製できるかどうかが研究の焦点になる。
国の指針では、人のiPS細胞から始原生殖細胞や精子、卵子を作るのは、生命倫理に触れるため規制されているが、研究機関の倫理委員会の承認などを条件に認められている。ただ、作製された精子や卵子を受精させることは禁止されている。
始原生殖細胞
精子や卵子など、生殖細胞の大もとになる細胞。受精卵から胎児になる過程で現れ、性別に応じて精子や卵子に変化していく。
(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20150717-OYO1T50009.html

iPSで人の精子や卵子のもと作製 京大が成功
京都大の斎藤通紀教授らは人のiPS細胞から精子や卵子のもととなる「始原生殖細胞」を作る実験に成功した。将来、試験管内で精子や卵子を作れるようになれば、親から子が生まれるしくみの解明に役立つ。成果は17日、米科学誌セル・ステム・セル(電子版)に発表する。
京大iPS細胞研究所から提供を受けた人のiPS細胞を、まず神経に成長しやすい条件で培養し、次に生殖細胞に変わりやすくなる複数の試薬をふりかけた。
iPS細胞が変化した細胞は、マウスやカニクイザルの始原生殖細胞に性質が似ており、研究チームは人の始原生殖細胞ができたと結論づけた。今後は人の精子や卵子を作る技術を開発する計画だ。
研究チームは既に、マウスのiPS細胞から始原生殖細胞を作り、卵子に変えて子供を生ませる実験に成功している。ただ、文部科学省は人のiPS細胞から作った精子や卵子を受精させる実験を禁じている。斎藤教授は「受精の実験を進めて良いかどうかは社会的な議論が必要になる」と話している。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16HAU_W5A710C1CR8000/

京大、ヒトiPSから始原生殖細胞を誘導する手法開発-不妊治療法確立に道
京都大学大学院医学研究科の斎藤通紀教授、佐々木恒太郎特定研究員、横林しほり特定助教らの研究グループは、ヒト由来のiPS細胞から精子や卵子のもとになる始原生殖細胞を誘導する手法を開発した。ヒトiPS細胞に、特定の細胞間情報伝達分子(サイトカイン)や薬剤を導入することで、効率よく分化できた。生殖細胞の発生メカニズムや不妊症の原因の解明、また将来の不妊治療法確立につながると期待される。
ヒトとマウスのiPS細胞はそれぞれ異なる性質を持つ。マウスiPS細胞はナイーブ型と呼ばれ、生殖細胞を含むさまざまな細胞に効率良く分化するのに対し、ヒトiPS細胞はプライム型と呼ばれ生殖細胞への分化能力が低い。そのためプライム型での始原生殖細胞への誘導は難しいとされていた。
海外の研究機関などがヒトiPS細胞のナイーブ型への変換を目指す中、研究グループは、一般的なプライム型のヒトiPS細胞から始原生殖細胞への分化を試みた。ゲノム編集技術を使い、始原生殖細胞で発現する遺伝子「BLIMP1」と「TFAP2C」が分化誘導の過程で発現すると、赤色および緑色の蛍光を発するiPS細胞を作った。
アクチビンというサイトカインとカイロンという薬剤を使い、iPS細胞をヒト初期中胚葉様細胞に誘導した。そこにマウスiPS細胞を生殖細胞に誘導する際に使うのと同じ4種のサイトカインを投与すると、細胞が赤と緑の蛍光を発し、BLIMP1とTFAP2Cを発現していることが分かった。
(日刊工業新聞)
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1020150717eaam.html

精子卵子のもと高効率作製、京大 人のiPS細胞から
精子と卵子のもとになる「始原生殖細胞」とみられる細胞を、人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から高い効率で作製する手法の開発に成功したと、京都大の斎藤通紀教授のチームが16日付の米科学誌セルステムセル電子版に発表した。
人の卵子と精子を作る技術の開発につながる成果で、将来的には生物発生のメカニズムの解明や不妊治療法の研究に役立つと期待される。
チームはまず、さまざまな細胞や組織になる人のiPS細胞に薬剤などを加えて「初期中胚葉様細胞」を作った。この細胞にサイトカインと呼ばれるタンパク質を作用させ、始原生殖細胞とよく似た遺伝子パターンを示す細胞を作り出した。
(47News)
http://www.47news.jp/CN/201507/CN2015071601001637.html

ヒトiPSで精子や卵子の元 京大、作成に成功
ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から精子や卵子の元となる始原生殖細胞を作ることに、京都大医学研究科の斎藤通紀教授や佐々木恒太郎研究員、京大iPS細胞研究所の横林しほり助教らのグループが成功した。ヒトの生殖細胞の発生メカニズムや不妊症の原因の解明につながる成果で、米科学誌セル・ステムセルで17日に発表する。
斎藤教授らはこれまでに、マウスiPS細胞から始原生殖細胞を経て、精子と卵子を作製している。ヒト始原生殖細胞については、国内外の複数のグループが作製の報告をしているが、手順のあいまいさや再現性の低さで問題があった。
斎藤教授のグループは、ヒトiPS細胞に生理活性物質のアクチビンなど2種類の薬剤を投与して、血液や筋肉になる細胞集団である中胚葉の初期の状態を作り、さらに4種の薬剤を加えて始原生殖細胞を作製した。ヒトやカニクイザルの始原生殖細胞の遺伝子の活動パターンとよく似ており、男女いずれのiPS細胞からもできた。
斎藤教授は「今回の成果は、ヒトiPS細胞から精子や卵子を作る研究の基盤となる」と話している。
<始原生殖細胞>ヒトでは受精卵が細胞分裂を始めて2~3週間後の胚に存在する。性別に応じて精子または卵子へと成長するが、発生のメカニズムはほとんど分かっていない。
(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150717000017




佐々木さん、おめでとうございます!!!
凄いクオリティーの論文ですね~

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