最新の栄養学で、がん細胞の好物は
糖質(ブドウ糖)ということがわかっています。
糖質がゼロに近ければ、
より効果的な治療が可能になるかもしれません
今、まだ日本にはない画期的な「がんの食事療法」の
プロジェクトに参加させていただいております
がん専門医古川健司先生からのシェアを。
「第2回日本静脈経腸栄養学会
関東甲信越支部 学術集会で発表をしてきましたので、
御報告させていただきます。
抄録
胃癌術後腹膜播種に対し高カロリー輸液と
アミノ酸製剤により胸腹水コントロールが可能となった症例
古川 健司1)、出雲 渉1)、舩冨 等2)、重松恭介1)
(公財)東京都保健医療公社 多摩南部地域病院
1)外科、2)内科
「目的」がん性腹膜炎の状態では、アルブミンを投与しても
一時的な改善しか望めないため、高カロリー輸液に
アミノ酸製剤併用し、アルブミン値、全身浮腫の状態が
どのように変化するかを調べた。
「方法」胃癌術後腹膜播種で、がん性腹膜炎で経口摂取が
ほぼ不能のため、CVポートを挿入し化学療法を行った症例
に対し、抗癌剤中止後、1日820kcal程度
(身長152㎝、体重26.6㎏、BMI=11.5㎏/㎡)、
総アミノ酸量52.72gを約5ヶ月間投与し、
その間の全身状態と栄養状態を検討した。
「結果」腹膜播種診断後11か月の生存であったが、
当初6か月間は、抗癌剤治療を行い、
腹水穿刺ドレナージや胸水ドレナージ、
アルブミン投与を行っていたが、
その後は、抗癌剤も行わず、アミノ酸を強化した
高カロリー輸液のみで、1日1500ml前後の尿量が確保され、
利尿剤も使用しないにも関わらず、
胸水や腹水の著明な増量を認めなかった。
また、四肢の浮腫も増悪を認めなかったが、
血中Alb値は1.8~2.1の間を推移し、上昇は見られなかった。
「考案」腹膜播種を伴った胃癌の化学療法の報告では、
MSTは6か月弱と予後不良ではある。
近年アミノ酸による抗炎症作用についての報告が散見されるが、
がん性腹膜炎の状態によっては、アミノ酸を強化した
高カロリー輸液により、腹水や全身の浮腫がコントロールされ、
予後の延長に寄与する可能性があると思われた。
という内容で、緩和学会でのガイドラインでは、
がん悪液質の患者には、ギヤチェンジをして、
カロリーと水分摂取を下げることが推奨されていますが、
この内容は、カロリーを体重当たり30kcal/kgで、
アミノ酸も20g/kgにギヤアップすることで、
全身の浮腫と胸腹水のコントロールができて、
予後延長ができたという内容です。
この日は、地方会にも関わらず、
学会理事長の東口高志先生の講演がありましたが、
先生も悪液質の患者さんでも、栄養管理をしっかりすることで、
10%は、また、食べられるようになると言っていました。
しかし、どのような基準で、ギヤチェンジをするかは、
明確な基準はないということでした。
あきらめないがん治療をするのであれば、この症例のように、
アミノ酸量を20g/kgを目安に、CRP、IL-6などのサイトカインの
コントロールをすることは、いいのかなと思いました。
今後は、症例を積み重ねて、ガイドラインを変えていければと思います。」
つまり、現在、がんの末期になると、浮腫を起こすため、
まったく逆の、たんぱく質摂取を増やす栄養管理で、
効果がでる可能性があるということ
先生方が日夜、頑張って挑戦されているので、
私も意識を高めようと思います。