当たり前のことを当たり前にする当たり前のこと その3 | 井上政典のブログ

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 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 慰安婦、つまり戦時売春婦のことですが、これも大きな嘘をはらみ、それを日本国民は鵜呑みにしてきました。

 

 売春婦は昭和31年の赤線防止法ができるまで合法でした。赤線とはもちろん俗称ですが、売春宿地帯を警察が赤線で囲んだことからついています。

 

 もちろん売春が社会的にも良くないことは重々承知なので、地域を限定していました。その赤線からはみ出して売春行為をするところを「青線」と呼んでいました。

 

 日本はもともとから自治が発達し、赤線地帯も吉原にみられるような独自の自治組織が運営しており、お上も問題をそこで解決できるように見て見ぬふり、つまりその地域での「掟」を尊重していました。

 

 それはその地域に限定される「掟・ルール」が存在し、それによりすべての人の生活が成り立つように考えられていました。一部の悪徳業者がいたこともありますが、おおむね海外から見れば民主的にそれぞれの役割ごとの権利も守られていました。

 

 江戸時代は売春婦の中でも最上位の「花魁(おいらん)」になると床を共にする人を自分で選ぶことも可能であり、そこは仮想現実で俗にいうテーマパークであり、夢の王国と同じような設定で運営されていました。江戸時代は公家社会をモチーフに仮の権威を皆で守るようにするのも一つのお遊びで、『色道大鏡』という本も出版され、遊女の評判や廓(くるわ)のしきたり、つまりそこのルールや掟が事細かに書かれていました。

 

 その本の中に出て来る言葉で有名なのが「野暮(やぼ)」ですが、これよりももっと下に位置するのが「下衆(げす)」という言葉もあります。

 

 逆に上位にある言葉が「粋(いき)」というものもあり、ここらの言葉はだんだん死語になってきていますが、ここをお読みの方々ならよくお分かりだと思います。

 

 教養のない成金があぶく銭をもって銀座のクラブに行って遊ぶと陰で「下衆」とささやかれていますし、かっこいい遊び方をする人には「粋な人」と評判が上がるのと一緒です。

 

 遊郭での最上位の花魁(おいらん)が年季奉公(前借したお金)を返し終えると自由の身となり、その後の生活を見てくれる旦那が見つかるとそこに嫁ぐこともできました。また花魁クラスになると一流の教養を求められており、ただの売春婦と決めつけるのはとてもかわいそうです。それほど日本の花街というのは風情に富んだものなのです。

 

 これは桂歌丸師匠の18番 「紺屋高尾」という演目で描かれています。

 

 もちろんそんないい話ばかりではなく、病気をうつされひどい目に遭った女性や、廓の主人が酷い人で使い捨てのようにしたことも多々あるようですが、日本の遊女はすべてが不幸ではなかったというのが、江戸の人情噺によく出てきます。

 

 落語というのも江戸落語と上方落語がありますが、やはり人気の演目は「人情噺」に多く、そこに描かれている人々の風情を垣間見ることができるので、ぜひ寄席に足を運んだり、今は動画でも昔の名人の落語を聴くこともできるのでとても便利です。

 

 私は桂歌丸や桂文珍や先代の円楽師匠が大好きです。今でも眠れないときは落語を聴きながら深い眠りに入ることがよくあります。面白いもので、漫才だと笑うポイントが多すぎて寝付けませんが、落語は周到にオチまでもっていくので、その間に寝落ちするようです。ま、大体知っている話なので、オオチわかるのですが、そこにもっていくまでが落語家の腕の見せ所です。

 

 話が無茶苦茶飛んでしまいました。

 

 戦時売春婦の話に戻ります。

 

 ここも女衒(ぜげん)という人買いさん(さん付けするのも日本らしいですね)がいて、冷害などの不作に苦しむ農家の娘を村々を回って人間関係を築いておき、いい娘を仕入れるのですが、泣く泣く手放す親たちも少しでも待遇のいいところにと、信頼出来る女衒に娘を託したいと気持ちもあります。

 

 そういう銭金の問題ではなく、日本的な信頼関係のもとに娘を売り、そのお金で他の家族が生き延びるという時代があったのです。

 

 昭和の初期もそういう飢饉が続き、東北出身の兵士の家族が売られるという話を青年将校たちが聴き、それは君側の奸のせいだと昭和維新を計画したのが5・15であり、2.26事件の背景にあったのです。

 

 そこを理解しないで軍が暴走だけで終わらせようとする左巻きやそれをうのみにする私たちの勉強不足が今日の自虐史観が本流になっている原因でもあるのです。

 

 この女衒については西田敏行、南野陽子主演の「寒椿」という映画を観ると理解が早いと思いますよ。

 

 調べるときも小難しい話ではなく、こういう映画などを参考にするようにすると楽しく学べます。

 

 戦時売春婦のことは勝慎太郎の「兵隊やくざ」が一番わかりやすいですよ~