高畠華宵の挿絵 248 | 郷愁倶楽部 レトロな印刷物
2012年04月15日(日)

高畠華宵の挿絵 248

テーマ:イラストレーター(挿絵・版画・画家 他)
大正ロマン
婦人世界 大正15年9月号
高畠華宵の挿絵

大正15年、今から86年前の雑誌「婦人世界」掲載
高畠華宵38歳ころの作品です。







夕べは来る 高畠華宵画

$郷愁のイラストレーション-華宵1
$郷愁のイラストレーション-華宵

高畠華宵 たかばたけ かしょう (1888-1966) 
愛媛県宇和島市生まれ
京都私立美術工芸学校卒、1910に津村順天堂の
「中将湯」の広告イラストで一躍有名になる。
その後、少女画報、少女倶楽部、少年倶楽部
日本少年などの挿絵で描かれる、美少年、美少女は
当時の若者の心をとらえ、一世を風靡した。
その画風は当時の挿絵画家に強い影響を与えたが、
現代の漫画家、丸尾末広も華宵の影響を受けたひとり。
-----------------------------------------------------------
高畠華宵大正ロマン館
http://www.kasho.org/bijutsukan.html
弥生美術館
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/







橋爪 健 作 絵画小説「美難」挿絵


$郷愁のイラストレーション-華宵2

家庭教師の片桐鉄次は

初雄少年のちんまりと腫れぼったい唇が動くのを

うっとりと眺めた。

なんといふ、うぶな水々しい口もとだらう。

雌蕊のやうな柔々しいそのくびれ工合が、

誰かに、さうだ誰かに、似てゐる







回想(下右)

初め、初雄のくびれた唇をぼんやりと眺めていた彼は、

いつとなく美紀子の唇を思ひ浮かべてゐた。

高畠華宵
$郷愁のイラストレーション-華宵3

梶棒(上左)

彼は、生まれながらの頑健な四肢に

燃えるやうな希望を秘めながら、

梶棒を引くのであった。






矢庭に……(下右)

その時である。

どこからか「助けてェ!」といふ女の悲鳴が聞こえてきた。

彼は思はず俥をそこに置き放して欄干に駆け寄った。


高畠華宵
$郷愁のイラストレーション-華宵4>
濡牡丹(上左)

女は気絶するまでにはいたらなかったけれど、

濡れ牡丹のやうにぐったりと拉がれてゐた、

高貴の家の令嬢らしく、

華美な水色の洋服がぺったり吸ひ付いて、

蝋のやうな肌が透きとほらんばかり

つややかである。



$郷愁のイラストレーション-華宵5




髪の毛は長し(下右)

年の頃は二十歳前後らしいが、

形よく裁った断髪が漆のやうに濡れて、

くきやかな襟足にぴったり密着いてゐるためか、

十六七にしか見えない。

$郷愁のイラストレーション-華宵6

園見男爵家(上左)

真っ先に駆け寄ったのは、

茶っぽいホームスパンの半洋袴(ニッカボッカ)をはいた

可愛ゆげな少年である




「可愛ゆげな少年」かぁ。










■関連記事(画像をクリック)
…………………………………………………………………………………………
$郷愁のイラストレーション-70X188-037 高畠華宵1・月光
 雑誌 月光の表紙 昭和59~60年 東京デカド社発行
 高畠華宵描く美少年
 037 イラストレーター
…………………………………………………………………………………………
$郷愁のイラストレーション-70X188-039 高畠華宵2・月光
 雑誌 月光の表紙 昭和59~60年 東京デカド社発行
 高畠華宵描く美少女
 039 イラストレーター
…………………………………………………………………………………………




「海外イラストレーターAmy Oikawaのディズニー♥ハリウッド進出紀行」さん、
 読者登録ありがとうございました。

$郷愁のイラストレーション-No
$郷愁のイラストレーション-閲覧$郷愁のイラストレーション-前号$郷愁のイラストレーション-次号$郷愁のイラストレーション-最新