今読んでいる『中国名詩選』の解説からのメモ書きをつらつらと。


まず最古の詩集『詩経』の分類について。


1.風

→周南、召南、邶風、鄘風、衛風、王風、鄭風、斉風、魏風、唐風、秦風、陳風、檜風、曹風、豳風


2.雅

→小雅、大雅


3.頌

→周頌、魯頌、商頌


○風、という単語はよく目にしていましたが、こんなに細かく分類されているのですね。

国風とも言って、十五国の民謡という意味だそうです。


雅は周王朝の宮廷の宴会で演奏された楽章。

小雅は国風に似た民謡風の歌文句が多く取り入れられる。

大雅は荘重謹厳な長編。


頌は先祖の廟の祭の時の楽章。

舞踏を伴い、一般的に短編。


次にかの有名な屈原を中心とした『楚辞』について。

暗く、鈍重で泥臭い『詩経』の作品に比べ、ロマンティックで幻想的。

南方の明るく美しい土地で生まれたものだから、こういった差ができると指摘。

私的には、詩風は土地柄だけに影響されるものではないと考えますが。

その人の生まれやそれまでの軌跡、宗教や政治も含めた時代背景などもっと複雑なものが絡んでくるかと。


漢代の歌謡について。

屈原の流れを汲む「騒体」が中心。

武帝が楽府を設け、この役所の名から演奏を伴う詩歌を「楽府」と呼ぶように。

中国音楽そのものも、この頃に伝統的な「雅声」から外国輸入の音曲を取り入れた「新声変曲」にシフト。

余談ですが、この流れに関わった李延年という人の名前を見る度に、三國無双の曹丕役の声優さんを思い出して「のぶとし」と読んでしまうのは私だけですか。。

この時代の詩の特徴としては、叙事詩、物語詩が多い。

日本ではよく見られる男女の心中ネタも中国では異例で、「孔雀東南飛」という長編詩が珍重されている。

この頃から、雑言からだんだんと五言詩の流れに。


三国時代魏の詩について。

三国時代魏の詩について。

大事なことだから二回言いましたw

ここまでの詩歌は無名氏によるものが殆どだったが、「詩人」という専門家の概念が誕生。

創作的、個性的な詩が多いのは、専門家達が「我々は文学者だ」という確固たる自覚を持っていたことが理由だと指摘。

勿論それもあると思いますが、無名ではない=曹操のような偉人の元に居るべき特別な人物、つまり元々個性と才能を兼ね揃えた人材の詩だから、という可能性もあると私は思います。

ちなみに曹操の詩については悲壮慷慨、曹丕は優婉華麗、曹植は二人の特徴を兼ね揃えた不世の大詩人と表現されていました。

うーん、こう書かれると確かに、曹丕の詩が女性人気(私の周囲調べ/笑)なのが分かる気するなぁ。


晋の竹林の七賢の時代から五言詩が確立すると書かれているけど、それより前に七言詩を作った曹丕ってすごいよね。

文字の数がどうあれ、内容と響きが綺麗なら良かったのかも知れないですね。

「燕歌行」が初の七言詩と言われてるんですよ。

ホントに、もっと長生きして作品ももっと沢山遺してほしかった。


上巻しかまだ読んでないので、今日はここまで☆