シンポジウム当日からだいぶ時間が経ってしまいましたが、第三部、葉口英子先生の講演のレポを。
「ゲーム空間の曹操像」と題されたこの講演は、私もですが三国志系ゲームが好きな層、若い層には興味深い内容だったんじゃないかなと。
学生さんに取ったアンケートだと、三国志を知った年齢は中高生って人が多いとか。
やっぱりこの点、大学入ってからな私は遅いんだなぁ・・・。
中国だとやっぱり、低学年から学校で三国志について聞いたりするらしいです。
そして、学生が持っている曹操のイメージというと、やはりゲームなどから起因するものが多いとのこと。
威圧的、天才、乱世の英雄、野心家、夢追い人、などが挙げられる中に、ロリコン、ドSという意見も・・・(苦笑)
ロリコンはどう考えても無双ですね(笑)3だっけ?二喬ゲットするシナリオあったやつ・・・。
吉川三国志などの小説では悪だと思ったのに、ゲームで曹操シナリオをプレイしたら悪でもなかった!という意見もありました。
その方には是非次は蒼天航路を読んでいただきたいものです。モーヲタ養殖計画。
それから無双5曹操伝のオープニング&エンディングを観ました。
金髪キラキラゴージャスな袁紹とか、無双知らない三国志好きからしたらたいそう驚かれたことでしょう(笑)
私がふと気になったのは、無双5のエンディングって最後、曹操が出ていっちゃうんですよ。
意味深に誰も座ってない玉座が映されて。
つまり、曹操自身は寿命で帝位に就けなかったのではなく、魏国の基盤だけ作って自らそれ以上は望まなかった、という解釈に取れるんですね。
この辺りが実際どうだったかは、史学的に三国志を研究している方からしてもまだ考察の余地があるところだと思うんです。
そういう意味で、無双5の展開はこれは一つの考えの提示なのだと捉えました。
そんな難しいコト考えてゲームやってる人そんなに居ないと思うけど(苦笑)
私は葉口先生が挙げてらっしゃった三国志系の二次創作作品(無双、大戦、蒼天、恋姫、呂布子、一騎当千、鋼鉄etc)は全て知っていましたし、熟知とまではいきませんがざっと目を通したことはありました。
結局ね、どれだけトンデモ作品でも、火のない所に煙は立たないのですよ。
例えば全員女の子になっちゃってる恋姫ですら、演義の流れを汲んだと思われる描写(曹操が関羽を気に入っていたり)が出てくる所が多々あります。
作者の側に立ってみると、三国志そのものを知らずにこういったパロディ作品を作るとは考えにくいです。
なので、どういう部分がフィーチャーされているのか、とんでもないファンタジックな世界の中でさえ生き残っている描写は何なのか、とかを考えながら見ていると面白いんですよね。
そして逆も然り。
先生は、こういった二次的なものかた入ったヲタク層が一次的、つまり歴史そのものの方へシフトするケースは少ないとおっしゃっていましたが、私はそうは思いませんでした。
ゲームや漫画にハマったら高確率で好きなキャラクターができます。
好きなものをとことん極めるという傾向があるヲタク層だからこそ、史実や逸話にはあって作品には描かれていない部分まで知りたくなる心理が働くのではないでしょうか。
もしくは、今はコミケやオンリーイベントなどでファン自らが漫画や小説などを制作して売買することがあります。
18禁などで単純に性描写があればいいだけの本を売っている人は別ですが(卑下する訳ではないのですがあまり好まないので・・・すみません・・・)、同じヲタ層であってもより他と差別化する、クォリティーの高い作品を出したいと考える人達は、元ネタはゲームや漫画であっても史実に添ったエピソードなどを交えてくるはずです。
そうすれば必然的に、表現の幅が広がるのですから。
結論としては、今から若い層に三国志の魅力を知ってもらうには、以上の理由からゲームなどの二次創作を通じたアプローチもかなり効果的だと思います。
稀に、曹操のロリコンみたいな間違ったイメージがついてしまう事もありますが(・・・)、それならそれで、ゲームイメージと史実イメージとのギャップを楽しむのもまた一興だと思っています。
あ、今更ですが、私が言う「史実」とは単に「正史」を指しているわけではありません。
本来の意味での「史実」は、これだけ大昔で資料の少ない三国志では、語るのは不可能だと思います。
ここでの「史実」とはあくまで自分が信じている「史実」です。
私はそれを文学に見出したりしているのですが。
なのであまりにゲームに傾倒しすぎて、変な贔屓目や誤解の脳内補完はしないようにしたいところです(笑)