何て乙女ちっくなタイトル(笑)
今回更新分の『曹植系男子』で取り上げられていてすっごく萌えたので、よし書こう!!と思ったまま数日過ぎてしまいました。
漢詩記事は大変なのよ、毎回1時間以上かかってるのよ?(笑)
今回も、訳は『曹植系男子』に美しいのが載ってるので見てね☆と投げようと思ったのですが、それではあんまりなので毎度の意訳私訳をつけました。。
今にぴったりな恋する季節の詩です。
感婚賦 曹子建
陽氣動兮淑清、百卉鬱兮含英。
春風起兮蕭絛、蟄虫出兮悲鳴。
顧有懐兮妖嬈、用掻首兮屏営。
登清臺以蕩志、伏高軒而遊情。
悲良媒之不顧、懼歡媾之不成。
慨仰首而太息、風飄飄以動纓。
おくゆかしく春の陽気が訪れると、数多の草木が芽生えては蕾をつける。
春風が騒がしくなって、虫たちも産声を上げ出す。
私は麗しいあの人を想っては心を騒がせ、頭を掻いては行ったり来たり。
静かな楼台に登り、想いを揺蕩わせ、高閣の欄干にもたれて気持ちを巡らせる。
良い仲人がいないことを顧みては悲しみ、この恋が叶わないことを憂えている。
嘆き、空を仰いでは溜息をついていると、風がひらひらと冠の紐を揺らしていく。
片想いの詩ですね。
『曹植系~』の相手が甄氏という解釈は斬新でしたが、「悲良媒之不顧」とあるので確かに人妻や許嫁が決まっている女性への恋の詩かもしれないですね。
本人の経験そのものなのかは曹植に訊いてみないと分かりませんが。
それにしてもこの弱気っぷり、草食系だなぁ(笑)
面白いなと思うのは、せつない気持ちは伝わってくるんだけど、「悲」「懼歡」とはっきり自分自身の気持ちを綴っている箇所は5行目のたった一行だけなんですよね。3行目も自分の心についてすこし触れてますが、その後ですぐに行動描写に移っています。
あとは情景描写や、自分の行動の描写のみ。
心を言葉で表すのって難しいから、感情をあんまりはっきり書きすぎると薄っぺらく感じてしまうんですよね。
それに対して曹植は、何となくもの哀しい、と、共感の後味を残すやり方がものすごく上手いです。
1~2行目:情景描写
3~4行目:心情・行動描写
5行目:心情
6行目:行動・情景描写
といった構成でしょうか。
最後の「風飄飄以動纓」が絵になってかなり好きですね。
フェードアウトしていくアウトロみたいな感じ。
生温い春風に翻弄されて漂っている心と、冠の紐がふわふわしている様子が重なります。
また、前半の3行が動、後半の3行が静という印象も受けます。
対比して書くことで、読み手の気持ちを揺さぶる効果もありますよね。
しかも、静から動になるという、意図的に盛り上がりを意識するような構成じゃなく、動から静になるというのもまた、曹植らしいです。
春、恋というテーマでも、ハッピーハッピーしてるものよりこういう少し憂いを秘めた詩のほうが好きです。