こんばんは。
大人でも読める面白い少女漫画をオススメするこの企画‼︎
今回ご紹介する漫画は、「ゆめの守人」です。
1巻~4巻
別冊花とゆめ 白泉社
全体的オススメ度
★★★★★
恋愛度
★★★☆☆
ストーリーの深さ
★★★★★
テンポの良さ
★★★★★
この作品、いわゆる霊媒師的な(笑)除霊ものなんですが、すんごくよくできてる!
ストーリーや登場人物などの柱がしっかりしているのは言うまでもなく、
読めば読むほど、この作品、人間の心理に通じるものがあるなーと思うんです。
これ、実はシリーズもので、「ゆららの月」、「らせつの花」と続く除霊ロマンス3部作なんですよ。
が、これ単体で読んでも全く問題ありません。
登場人物のメインがそれぞれ違うので、キャラクターは重なってはいるものの、ストーリー的には独立しています。
私はこの「ゆめの守人」を最初に読んで、サブキャラのらせつにも興味を持ち、「らせつの花」を読みました。
「ゆめの守人」は次巻の5巻で完結らしいので、程よい長さですし、私の中ではシリーズの中で一番オススメ!
ここでのメインは除霊事務所の所長である天川緋一郎。
緋一郎は所長であり、とても強い霊能力がありながら…
事務所の仕事は基本、人任せ。
ものぐさでなかなか自分は動きません(笑)
が、たまに事務所に顔を出すと、面倒くさそうに溜まりに溜まった案件をさばいていくのですが、
これが実に見事としか言いようがありません。
社員のらせつだけでなく、バイトや元社員に至るまで的確に使えるものは使い、頼れるものは頼ってしまう。
自分はいざという時にしか動かない。
これ、もしかして上司として最高じゃないですか?
そんな緋一郎が今回、命を賭してまでの覚悟である少女を救うことになります。
その少女が今作のヒロイン、風間ゆめです。
ゆめは人に頼ること、人に守られることを諦めてしまっている少女。
シングルマザーの母親に置き去りにされ、遠い親戚に引き取られます。
誰からも必要とされない
どこにも居場所がない
そんな思いで少女時代を過ごしてきたのでしょう。
身寄りがないのを好都合とゆめは村人達から災いをもたらすと言われる獄界の蝶を鎮めるための生贄にされてしまいます。
そこにその悪習を救うべく訪れた緋一郎と出会うのです。
その時は獄界の蝶の力が大きすぎてゆめを救うことはできずにいます。
この時から緋一郎にとってもゆめは特別の存在になっていたのでしょう。
8年前のあの時にゆめが本当に言いたかったこと。
緋一郎は全てを諦めてしまっていた彼女の心からの思いを吐き出させるのです。
誰しもあの日、あの時に閉じ込めてしまった思いというのは心の奥底にくすぶり続け、更に闇を深くしてしまうのかもしれません。
それがいわゆる心の「宿便」というやつ。
宿便て、閉じ込めている期間が長ければ長いほど臭いも強烈で(笑)、出すのも大変になります。
でも、早めに出しきってしまった方がすっきりする。
吐き出すって辛いけれど、大事なんだと思います。
~あなたがあの日あの時に閉じ込めてしまった思いは何ですか?~
ゆめを獄界の蝶ごと救い出したわけですから、当然、獄界の蝶の闇の影響は続くわけです。
この獄界の蝶はゆめの深層心理にあります。
緋一郎の封印によって、普段は式神の蜘蛛の糸によって縛られ、鎮められてはいますが、ゆめが一旦不安や恐怖を感じてしまうと、その糸は容易く緩み、外に漏れ出てしまいます。
ゆめはまた独りになってしまうのではないか?という恐怖、不安からなかなか抜け出せずに苦しみます。
また、この獄界の蝶はゆめが不安とは逆の満たされた状態の時には浄化され、白い天界の蝶に変わります。
闇を深くするのもクリアにするのも自分次第と言えるのかもしれません。
獄界の蝶を全部消そうとしなくていい。
持っていてもいいんです。
闇を落とせば天界の蝶になるように、嫌な記憶もトラウマも自分で上書きはいくらでもできるのです。
こういうことを当てはめながら読んでいくと、人の心理を描いているような気がして面白いです。
さて、話しを戻します。
緋一郎は抱きしめることによって、相手の心を読むことができるのですが、ゆめはそれを避けようとします。
緋一郎もゆめの心が読めずに苦心するのですが、
ゆめの緋一郎への想いがまた切ない。
ここもまた見どころです。
二人はお互い心を通じあわせることができるのでしょうか。
そして、獄界の蝶を封じようとする天界の神と対峙する緋一郎達はどうなっていくのか、ゆめは本当の意味で解放されるのか。
はいはい、それは敢えて書きませんよ~
それはぜひ読んでお確かめください。
最後に緋一郎の事務所で働くらせつが同じく事務所の電話番であるみやびに言った言葉で締めたいと思います。
自分の望まないことを言う人、望まないことをする人にこそ本当の答えがあるかもしれない。
怖いけれどそれも受け入れられたらいいですね。