しばし別れの缶コーヒー。 | ロール発射でございまさぁす♪

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魚屋でコミュニティFMのパーソナリティやっててアイドルヲタクでカメコでDJでコピバンやったりしてる、そんな人です。

どもッス!
え~漫才ウィークが続いとるワケですけども、今日はその合間に起きたハナシでもしましょうか。
林くんとの練習を終え、林亭をあとにしたボクは軽トラに乗り二つ目の交差点でよく見知った、それでいて久々の顔に再会します。

「お、松ちゃん!ちょうど良かった、ちょっとコーヒーでも飲まん?」
時刻は午前零時に差し掛かろうとしてる状況で、普段なら彼はそんな引き止めはしなんですけど、これは“なんかあったな”と思い、つき合うことにして、彼のお店に入りました。

カウンターの中央のソファーに腰掛け、タバコに火をつけると彼は
「店、辞めることになってさ。。」

え?ま、またどうして!?

そこから彼は店を辞める事になった経緯を淡々と語り始めました。。
店自体はホントに順調だったのですが、共同経営者がいろんな分野に手を出してそれが全て不採算だったことから始まり、ほぼ半年間、タダ働きだったそうです。もちろん「おかしいやろ?」とは問い詰めても、ある時は凄まれ、ある時は土下座。まだ自分だけなら良かったものの、とうとうバイトの子たちのなけなしの給料も未払いになり、「もう辞めましょう!」と提案しても聞く耳は持ってくれなかったそうです。
実際、昨年いっぱいで閉めるつもりでいたのにその経営者が勝手に予約を入れてくるような横暴ぶりだったそうです。結局、彼は「オレの給料はいいからせめて一回ボーナスをくれ」と頼み、それをバイトさんたちの未払い金に充てたんです。

「いやぁ、疲れました。。」
力なげに笑う姿に正直コトバが出なかったです。

すんません、“人でなし”という言葉しか浮かばんです。。

それを言うのが精一杯でした。
しかし彼は
「松ちゃん、ありがとう。オレ今回さ、ほとんどの人にお別れすら言ってねぇんよ。でも、こうやってラストの日に会えてさ、ホントの気持ちをわかってくれる人が少しでもいてくれたら、ね。」

滅多に弱気な事は言わない人です。
そんな彼がそういう労いのコトバをかけてくれるほど、今回の件でいかに打ちのめされたのかが伺えました。

ボクも良かったです、偶然とは言えラストの日に会えてって今夜ラストだったんスか!?言ってくださいよ!!

「言えんよ!もう正直さ、お客さんをもてなす気持ちさえ無くしそうでさ・・」

そこまで・・。
ふとひとつ、不安だったことを聞いてみました。

で、次行くとこは、あるんスか?

「うん、それはおかげさんでね。ってかもう行きよるんよ、新しい職場にも」

ああ、良かった!

「前の同僚もおるしね。ま、そこも改善の余地はまだまだあるけど」

やりがいは、ありますか?

「うん!前向けるし」

また一つ、
行橋の街の灯りが消えました。。
腕は良く、後輩からも慕われ、
お客さんのニーズを察知する嗅覚をしっかり持った彼。
ただ残念な事に年上の運が無かったばかりに翻弄された日々。

その彼が別れ際、
「じゃ、また!」と言って
差し出してくれた手は、まだまだボクには到底追いつけない“職人としての意地”を伝えてくれるのに十分でした。

次のステージで羽ばたいてくれることを祈って、ボクは家路へと着きました。







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