中田力著「日本古代史を科学する」という本を読みました。

その中で、東アジアの遺伝子グループを解析した部分があり、

興味深かったので、ご紹介します。


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人間の染色体は、女性XX、男性XYであるのは、学校で習い

ましたが、Y染色体については、常に父系の男子に受け継が

れる。

また、長い時間のなかで、遺伝子のゆらぎが起こり、変異と

して受け継がれ、この変異を「ハプロタイプ」と呼ぶ。

このY染色体ハプログループを追いかけることにより、父系

の先祖をさかのぼることができる。


なお、女性側についても、ミトコンドリアのDNAのハプログ

ループで、母系の先祖をさかのぼることができるが、こ

の本では、父系のY染色体にフォーカスしている。


Yハプロタイプには、AからRまでのグループがあり、

東アジアは圧倒的にOグループの男で占められている。

歴史的に、アジアには、まず、Cグループが広まり、それ

を追いやるようにして、Oグループが広まったと考えられ

ている。


日本は、他のアジア諸国と違い、Oグループが絶対多数

を占めず、Cグループ以外にDグループの男性が多く、

特殊な形態となっている。


日本     O:42%、 C:10%、 D:43%、 他:5%


中国、朝鮮 O:70%、 C: 5%、 D: 0%、 他:25%

モンゴル   O:25%、 C:55%、 D: 0%、 他:20%

チベット   O:35%、 C: 5%、 D: 50%、 他:10%


これを見る限り、日本は、東のはずれに位置し、多様な

移民で構成されているものと考えられる。

日本では、CとDが縄文人、Oが弥生人と考えられている。

アイヌ男性は圧倒的にDグループで占められており、沖縄

の男性にもDグループが多い。

初期の縄文人がDグループで、後期縄文人がCグループ

としている学者も多い。

Oグループについては、九州地方で多く、本州でも西高東低

の分布を示している。


同じような解析は、イネでも行われている。

日本のイネである温帯ジャポニカの遺伝子にRM1-bと

いう遺伝子があるが、朝鮮半島で栽培されているイネには

この遺伝子は存在せずに、中国の南部、長江を中心とした

地域のイネの60%がこの遺伝子を持つ。

この遺伝子の分布は、日本への水田耕作の伝来が、

朝鮮半島経由ではなく、中国の南部から伝わった技術

であることを証明している。


日本への水田耕作の伝来と時期を一にして、中国南部の

国家が滅亡している。

「呉」の国である。(紀元前473年)

呉の国の滅亡により、まとまった避難民が九州に到達し、

その人々が水田耕作をもたらしたと考えられる。

中国の書「魏略」には、「倭人は、呉の末裔と称している」

との記載もある。

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やはり、日本は極東に位置していることで、大陸での戦乱など

による避難民が最終的に流れ着いて、定着する国となっていた

ようですね。

ユダヤの失われた十支族の伝説もありますし、日本は遺伝子

的に多様な国となっており、これがひょっとすると日本人の能

力の高さという強みになっているのかもしれません。

半島の人たちがいつも言うように、日本の文化は全て、おれた

ちの「ウリジナル」というのが、的外れであることをこれが証明

しています。


ちなみに、和服のことを「呉服」とも言いますよね。

キモノのルーツは呉の国でしょうか。