ジョンミアシャイマー氏・米国悩ます「2国家共存説得失敗」日本は他国の心配をしている場合ではない | 中谷良子の落書き帳

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核武装・スパイ防止法の実現を

ネタニヤフ首相が真珠湾攻撃についての見解をネットニュースで見て以降、中東問題には持論を書くのはやめておこうと思いましたが、ジョンミアシャイマー氏のリアリズム外交は多くの日本国民にご覧いただきたいと思いました。私は、中東専門家ではありませんし、浅い知識で大口を叩けるほどの身分でもありません。

ミアシャイマー氏が仰るように、イラク開戦も結局は、民主主義を押し付けようとした米国の失敗。9.11テロの被害者を上回る戦死者と、その数十倍以上のイラク人の犠牲者を出しました。

今の米国でも日本でもミアシャイマー氏のような視点で解説出来るリアリズムを持った有識者や学者、メディアには一切おられませんね。イスラエルとテロリストハマス戦争の行方が、全面戦争に拡大すれば深刻な影響を受けるとされている日本も、現状を見ていると極右シオニストと国際金融資本等が対立を煽っているように見受けられ、やはり感情的な正義感のみでガッツリとイスラエルに加担してしまうというのは賛同しにくいといったところでしょうか。もちろんテロは絶対許せません。

ただ現段階で岸田政権ができることは残念ながら人道支援以外ないと思いますがテロリストを支援することになりますから意味がないと思います。

人道的支援でさえ、結局は国境なき医師団が医療物資26トンを用意しても現地に届けられず、その物資も800件の外科手術と2万件の応急処置に充てる分しかなく、届けられたとしても数日分にしかならないといいますので、なんだかなぁ・・・しかもハマスに100億支援・・・

中国による台湾への武力統一が話題になっていますが今すぐでなくとも、台湾国民は一丸となり、多くの大人も子供も戦争に備える準備をしています。日本も緊迫した世界情勢に倣い、民間防衛、核シェルター、核武装、スパイ防止法等の議論は早急に、多少は強引にでも進めなければならないと感じます。

世界の警察官である米国は窮地に立たされています。日本も現実を見るべきで、ウクライナを見てわかるように今までのように他力本願では期待を裏切られるという覚悟は持っておいた方がよいですし、そういった米国が守ってくれるから大丈夫という心構えで果たして真の保守なのでしょうか?


★米国悩ます「二重危機」ウクライナ侵略、軍事支援が中露の連携深めさせた★
米政治学者・ジョン・ミアシャイマー氏


ロシアのウクライナ侵略戦争が長期化する中、イスラエルがパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスに対する報復攻撃を強め、欧州と中東で人道危機が高じている。

米国の政治学者ジョン・ミアシャイマー氏は2001年の著書でいち早く中国の覇権主義に警鐘を鳴らし、米同時テロ後の03年のイラク開戦を批判するなど独自の見解で知られている。ウクライナ戦争では米国の責任にも言及している。

現下の世界をどう見ているのかと問うと「米国は世界最強ですが。真の競争相手として立ち現れた中国は手強い。ただ米国はウクライナ戦争とガザ危機にとらわれ、対中政策に専心できない」と語り出した。(編集委員・鶴原徹也)

以下、ジョン・ミアシャイマー氏👇

世界に米中ロの3大国があります。大国は覇を競う宿命にある。米中は覇権争いを演じている。米国の最重要課題は中国封じ込めですが、ウクライナとガザの二重危機対応に追われ、東アジアに十分な目配りができない。

ウクライナ戦争は私の見るところ、ウクライナ軍が劣勢です。

米国を筆頭に西側は今年6月の反転攻勢を支援し、戦果を期待した。露軍敗走を予想する識者もいた。しかし露軍はウクライナ軍を迎撃し、戦車・火砲を多く破壊し、大打撃を与えた模様です。ただ露軍に征服を一気に拡大する勢いはない。戦況は消耗戦です。

消耗戦の行方を決めるのは詰まるところ兵員と火砲の量です。露軍はウクライナ軍に対し、兵員で5倍、火砲で5~10倍の優位にあると推計される。ウクライナ軍の兵站を少なからず担う西側には大量の火砲・砲弾を短期に製造する産業基盤がない。ウクライナ軍の火砲は不足の一途です。

一方でロシアの軍需産業は火砲の量産体制に入っている。戦争の更なる長期化は露軍を利することになる。それでもウクライナが降伏することはないでしょう。戦争の帰結はどうなるのか。両国はいつかは疲弊の末に停戦に至るでしょうが、ロシアが征服・併合した地を手放すことも、ウクライナが失地奪還を断念することもあり得ない。和平は結ばれずに紛争が凍結されると私は考えます。平和条約が締結されていない朝鮮戦争に似た事態といえます。

ロシアは2014年以来併合してきた南部クリミア半島と東部ドンバス地方に、戦争で新たに征服した東部・南部の州を加え、最終的にはウクライナ領の45%を奪うのではないか?ロシア系・親露派住民が相対的に多い地です。ウクライナは国土の半分近くを失い、国力を大きく落とす。その後もロシアの執拗な干渉・妨害に遭い、国家機能は損なわれるのではないか。戦争の火種が消えることはないでしょう。

米国はウクライナ支援を続けるはずですが、NATOに迎え入れはしない。EUもウクライナ加盟には動くまい。いずれも対露戦争を避けるためです。無論ロシアとの対立は長く続きます。

●「2国家共存説得失敗」過剰なガザ攻撃
私は暗澹たる気分です。

ウクライナ戦争の原因について、米国・西側の主張はプーチン大統領の時代錯誤の帝国主義的野心と断じますが、私は米国主導のNATO東方拡大と考えるからです。

米国は1989年に東西冷戦に勝利し、敵のソ連は解体し、残存したロシアは混乱に陥った。米国は唯一の超大国として自由主義体制を世界に広げる一方で、ロシアの意義を無視し、旧ソ連圏の東欧諸国・バルト三国をNATOに加えた。そして2008年、ウクライナ加盟に道を開く。ロシアにとっては足元のウクライナが西側の先兵に一変することを意味します。

プーチン大統領は国家の死活問題と受け止め、戦争の脅しをかけて猛反対した。大国に復活したロシアは14年、クリミア危機を引き起こす。ウクライナ戦争はその延長線上にあります。米国は厳しい対露制裁を科し、ウクライナを軍事支援する。

それは必然ですが、ロシアを中国に更に接近させ、連携を深めさせた。結果として、米国の真の脅威である中国に利を与えてしまった。


ハマスの10月7日のイスラエル奇襲は、その規模と強度に目を見張りました。

イスラエルは虚を突かれ、米国が01年の同時テロで味わったような深い衝撃を受けたようです。ハマス壊滅を誓う心情は理解できますが、過剰なガザ攻撃は国際社会の反応を同情から非難へと反転させてしまった。ガザに住むパレスチナ人の人道危機が深まれば、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、その後ろ盾でハマスを支援するイランが軍事介入してくる可能性が高まる。その場合、大惨事は必至です。

ガザ危機の根底にあるのは未解決のパレスチナ問題です。パレスチナ人がパレスチナの地に国家を持てるか否かという問題です。

米国は、1948年に英国の旧委任統治領パレスチナにユダヤ国家のイスラエルが建国されて以来、同国と「特別な関係」を結び、巨額援助を無条件で与え、外交的にも擁護してきました。

イスラエルは67年のエジプト・シリア・ヨルダンを奇襲した第三次中東戦争に圧勝し、ガザ・ヨルダン川西岸などを占領し、パレスチナ全土に支配を広げる。いわゆる「大イスラエル」です。国連安全保障理事会に決議で占領地からの撤退を要求されても、ガザ・西岸を放棄せず、逆に入植を進めた。

米国は70年代後半にカーター政権がパレスチナ国家建設に向けて関与して以来、パレスチナ国家とイスラエルの「2国家共存」の実現を模索します。93年のパレスチナ暫定自治合意に結びつき、共存を目指す歩みが始まります。

しかし21世紀に入ると和平機運は減衰し、イスラエルは右傾化し、「2国家共存」は頓挫します。私に言わせれば、米国がイスラエルの説得に失敗したからです。

ガザ危機は軍事的には解決できません。

「大イスラエル」にはユダヤ人とほぼ同数の約730万人のパレスチナ人が暮らします。ユダヤ国家はパレスチナ人を平等に処遇していない。国際人権団体は現代の「アパルトヘイト(人種隔離政策)」と糾弾しています。パレスチナ人は独立国家を手にしない限り、反抗を続けます。「2国家共存」が鍵ですが、イスラエルが近い将来、共存の道を歩む姿を私は想像できません。

米国主導の一極体制は2010年代半ばに終わります。中国の台頭とロシアの再興で世界は多極構造に転じる。中国は国際金融機関アジアインフラ投資銀行を開業、一帯一路を推進し、自由主義体制に代わる新たな体制づくりを主導しています。

冒頭に触れたように大国間の覇権争いの時代が再来しているのです。

国家を超えた世界的権威がない限り、国家は他国の思惑を疑い、強国になろうと欲する。中国は東アジアの覇権確立を急いでいますが、19世紀のアヘン戦争以来、列強によって半植民地化された「百年国恥」の反省に立つからです。

ただ中国は南シナ海と東シナ海の支配・台湾統一・尖閣諸島奪取に執着するため、平和的には達成できない。日本は隣に出現した大国に対し、第二次大戦後、初めて真の脅威を感じているはずです。

米国は自身の他に覇権主義国が出現することを認めません。米中対決の主戦場は当然、東アジアです。

米国は日本・韓国・フィリピンといった同盟国との2国間関係を深化させて重ね合わせ、台湾との関係も強化することで中国を封じ込めようとしています。大国間の覇権争いは回避できない。私はこれを「大国政治の悲劇」と呼びます。理想とは程遠い世界の現実です。中国との戦争を抑止するには勢力均衡を図ることが緊要です。日米同盟は柱です。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20231104-OYT1T50152/