積立投資の成功者になるために

10月3日(木)

                     

注目を集めた報告書の成果

 金融審議会市場ワーキンググループが作成した報告書が話題を集め、結果として多くの生活者に高齢社会の進展に伴う資産形成の必要性が周知されることとなりました。殊に現役世代でこれへの関心が高く、「イデコ」や「つみたてNISA」を通じて投資信託を活用した長期資産形成へと一歩を踏み出そうと行動を始めた新しい方が最近セミナー参加者にも増えていることを実感しています。

 

積立投資の目的は?

 当該報告書が話題になったことによって、我が国に積立投資家は間違いなく増え始めました。毎月少額からの積立方式で投資に参加するということは、その行動目標は長期でそれを続けることによって投資金額を累積させ、積み上がった資金が投資リターンを得て大きく育つことであり、その行動目的は将来における資産形成である、と断定的に言うことが出来ましょう。敢えて積立投資という行動手段を選択しているということは、目先の相場で勝負して短期的に儲けたい、という動機ではないはずだからです。

 言うまでもなく、毎月少しづつ投資資金を拠出するのですから、将来の人生を支える財産に育てるためには拠出行動を長期にわたって辛抱強く継続して行かなければ、相応の資産規模にはなり得ないわけで、当然誰しもそれを理解した上で積立投資を始めたに違いないでしょう。

 ところが実際のところ、早々とそれをやめてしまう人がどこでも後を絶たないのです。とことん「長期積立国際分散投資」をメッセージし続けているセゾン投信のお客さまでも、年間1割弱の方々が積立投資をやめてしまっています。なぜ当初掲げた行動目的を、人はあっさり覆してしまうのでしょうか?

 

なぜ積立投資をやめたくなるのか?

 もちろん積立を続けたいけれど各々の事情でそれが難しくなることはあるでしょうが、大概のケースでは資金が必要になったわけでなく、相場の値動きに感情が揺さぶられてのことです。

 人間とは決して合理的には行動出来ない生き物です。積立投資といえども、投資資金は日々のマーケットの中で値段が上下し、値動きの都度含み益になったり含み損になったりするわけです。そうした価格の変化が人の欲望と恐怖という感情を刺激します。

 ここ数年はセゾン投信のお客さまを見ていると、大きく値上がりした直後に欲望が勝って「利益確定」へと解約に動く人が増えます。また大きく下落した後にまとまった値段の戻りがあった時に、業界全体で売却の増える傾向が顕著で、これを「やれやれ売り」と業界で呼んでいますが、これは下落傾向で恐怖の感情が高ぶる中で下落が止まり上昇に転じたところで、これ以上損したくない、せっかくの含み益を減らしたくない、といった欲望と交錯して投資をやめてしまうのです。

 投資をやめれば資金は銀行に入って、もう育つことなく働かないお金に戻ってしまいます。また相場動向を見極めながら投資を再開しようなどと、自分の判断能力を過信する人も多いのですが、やっぱり相場は当てられなくて、上昇局面に乗ることが出来ず投資機会を逃してしまうことになります。なかんずく上昇相場をずっと逡巡しながら見続けて、上がりきった高値圏で慌てて飛び乗りすぐに調整相場で下落に見舞われるのもよくあることです。

 

「価格は価値に収れんする」を知る

 長期投資の運用成果は、専ら相場の上昇局面で投資していることによって得られます。それがいつ到来するのかを人は的確に当てられないから長期保有が大切なのです。

 米ダルバー社という調査会社が、米S&P500インデックスで1983年から2013年の30年間における平均年率リターン11.1%に対して、そこに参加した投資家全体の平均リターンは3.7%と投資対象のリターンを大きく下回っていたとのデータを出しています。

 参加した投資家の多くが自らの感情から判断して、途中で売り買いをしたために投資家リターンを損なったわけです。他方30年間ずっと投資を継続した人は、年率11%という望外とも言える大きなリターンを享受していることもご理解いただけるでしょう。

 積立投資は長期で続けてこそ、将来の資産形成という目的を成就させるものです。人は感情に弱い生き物ですから、その弱点を克服するためには、世界の長期的経済成長を「信じて念ずる」信念を定めるしかありません。そして持続的に成長するものに投資していることが確信出来ていれば、「日々の価格は長期的にあるべき価値に収れんする」という長期投資の大原則に則った本格的長期投資家になれるはずです。

 そして「セゾン号」乗客の皆さまには、生涯スパンで長期積立国際分散投資を実践することで、将来日本有数の長期投資成功者になっていただくことが、セゾン投信の社会的使命として見据える事業目的なのです。