長期投資家は今回の下落相場をどう見るべきか!

3月9日(月)

 コロナウィルスの世界的な感染拡大へ、2月最終週から俄かに金融市場でも先行き懸念が高まって、それまでの景気楽観右肩上がり相場から一転、この騒動の最悪ケースに向けた調整局面に入っています。先進国株式市場は下落に転じてから軒並み1割超の価格調整となり、米国では連邦準備理事会(FRB)が急遽0.5%の利下げを断行し、景気下振れ対策へと早速動き始めました。

 上昇相場の後には必ずや調整相場が訪れ、それを繰り返しながら、持続的経済成長が長期的な株式市場の価格水準を押し上げて行く。このメガトレンドに載せてお金を育てて行くことが、私たち生活者における長期投資の行動目的であることは、足元の相場環境如何によらず普遍の原則です。

 とは言え、今回の如く突発的にまとまった相場調整が起きれば、誰しも平常心を保てなくなるものです。そこで、おそらくこの先コロナショックと呼ばれるであろう今回の下落相場の背景と、想定され得る今後の帰結を整理しておきましょう。

 まずコロナウィルスは中国から感染が起こり、ここに至って世界的に感染者が発生し始めました。ひとつは感染拡大への警戒から世界中の生活者が外出をはじめ様々な活動機会を控えると想定されることによる、個人消費の急減退がもたらす景気減速懸念と、もうひとつは中国を発端として産業界のあらゆる部品供給の製造から流通に至るサプライチェーンのみならず、事業全体の価値創造に資するバリューチェーンまでがグローバルに遮断されるリスクに鑑みた、事業活動の抜本的停滞が実体経済に及ぼす悪影響をマーケット全体で織り込み始めたことが、急落を招いた要因と考えられます。

 ところが、その原因はやがて収束するものと言えましょう。つまりウィルスという一過性の経済活動阻害要因が払しょくされれば、再び実体経済もマーケットも加速的に急回復へと向かう可能性が高いという帰結を、私たち長期投資家は同時に想定しておくべきで、いま最も大切なのは、短期的相場環境の急変に反応して、拙速に投資行動を変えてしまう、ましてや狼狽売りして投資をやめてしまうことを厳に戒める胆力なのです。

 そして長期投資家なればこそ、目先の価格急落を絶好の投資機会と捉えられるはずです。相変わらずコツコツと長期積立投資を継続してまいりましょう!