長期投資家の皆さまへ(やっぱり継続は力なり)

3月16日(月)

 2月下旬から始まったコロナショックにおけるマーケットの反応は世界全体で連鎖して続いており、各地域の株式市場は直近の高値からざっと2割超の下落となり、更なる下げ加速への悲観ムードがまだ市場を支配しています。

 新型コロナウィルス感染の経緯を振り返れば、年初より中国武漢での局地的発生から始まり、日本・韓国などへの飛び火が顕在化したのが2月初旬頃。それから暫し欧米からは、北東アジア地域での限定的感染事象と見られていたため、世界の金融市場は米国景気の持続的拡大基調を拠り所に穏やかな右肩上がりトレンドを維持していました。

 この前提がガラリと変わったのが2月最終週から。イタリアに大量の感染者が発生し始めてからです。中国周辺の局地的事象から、地域を超えた拡大に向かったことが確認されたことで、グローバルな経済活動への支障をマーケットが認識したことによって下落トレンドに転じたわけです。そこからは欧州でフランス・ドイツ・スペインと加速度的に感染者が広がったことからパンデミック宣言が出され、株式市場の動揺が一層激しくなったのが直近の一週間でした。市場は感染収束までの先行きがまだ見通せない中で、最悪のケースを織り込む水準まで下落するでしょうが、最悪ケースがどの程度なのかが現状捉えられないことで、迷走を極めて価格が大きな振幅で上下し混乱しているのです。

 こうした不透明感が継続する間、即ち収束への目途が世界全体で共有されるまで、金融市場の調整局面も続くでしょうが、経済活動は専らコロナウィルスへの恐怖を要因として停滞しているので、活動阻害要因、つまりウィルスへの不安が総体的に払しょくされたなら、実体経済は停滞の反動も伴って勢いよく活動再開することになるでしょう。おそらく現状の世界的な活動自重期間に製品在庫は解消に向かい、強制的に抑制された個人消費も堰を切って上向くのではないでしょうか。

 そしてどうやら中国では内部感染拡大がピークアウトし収束に向かい始めたようで、併せて米FRBが実質ゼロ金利と量的金融緩和復活を緊急決定したことに呼応して、日欧先進国が共に果断な経済底割れを防ぐための様々な金融政策を実行して行けば、一定の期間を経て需要が底入れし、経済失速懸念は後退され得るはずで、金融市場全体のリスクオフ状態もそれと同時に転換するであろうと考えます。また、各国の緊急経済対策も次々と実施されるであろうことから、その効果も付加されて、感染収束ステージに入ればマーケットは調整前水準に向けて力強いリバウンドへと急転換する可能性もあるでしょう。

 或いはたとえ収束と回復への時間が長期化したとしても、歴史的事実として実体経済は貿易活動の回復と共に日常を取り戻すもので、それがグローバルな長期的成長軌道を担保する大前提でもあります。そしてこの普遍的メガトレンドが信じられるなら、現状の如く市場がダッチロールして動揺している時こそ、決して投資行動を変えることなく継続することが長期的成果の肝要だと理解出来るはずで、それを実践出来るのも長期投資家なればこそです!