財政投入の正念場

4月6日(月)

 新型コロナ感染は欧米が中心となって世界中に拡散する、前例なき天災となってしまいました。日本でも本格拡大の瀬戸際にあるとして、いよいよ非常事態宣言が政府から発動されます。

 人々が物理的に行動制約を受けることによる経済活動の縮小は、今に至って金融システムが壊れたリーマン危機よりも、そのスケールは甚大なものになるでしょう。未だ感染収束への見通しは見えない中ですが、一旦損なわれてしまった世界経済の安定的成長軌道の回復持続に対する先進主要国の対策が、言わば制約なき財政投入へと揃って舵を切っていることは、今ある危機の中で最大の光明でありましょう。

 今回は通常の景気対策的発想はほぼ無意味であり、公的資金で生活弱者の日常最低水準を確保し、産業界の資金繰り維持をサポートして、コロナ終息後に抑え込まれた需要が一気に回復するであろう時、そこに供給サイドが平常時の水準で応えられるよう、まさに今の事業者を支えて乗り越えることによって、コロナ後の景気リカバリーを健全に実現させるための財政活用が肝要ですが、主要国の政策ベクトルは総じてそちらに向けられていると感じます。

 ここで実体経済の、とりわけ供給側活動基盤が壊れてしまうと、景気のV字回復は不可能になります。政治と行政の適切な判断の正念場でありましょう。