日頃は桜の山で子育てと豚の世話に追われてる生活ですが、この度廃材天国の秋山陣さんが天草の塩屋さんの釜を作り替えるとのことで、そのお供として連れて行ってもらいました。
ただでさえ滅多とない外出だけど、自分の為の学びの外出というのは 数年前に韓国にストーブとオンドルの勉強をしに行って以来。
この度は、豚肉の出荷のピークであり、5人の子供の子守に加えて豚の世話、麹作り二連チャンに豚の餌とりもと、全部引き受けてくれて送り出してくれた嫁さんに感謝!
しつつ。
韓国の時は視察と移動がほとんどだったのに対し、今回は作業が中心とのこともあり、ちゃんと身体が動くかドキドキとワクワクしながらの現場入りでした。
一応、前日の夜入りしたので現場の状況は聞いていました。
ガス溶断の最中に酸素切れの為、塩釜が分解途中で昨日は作業ストップ。本日は釜をバラすところからです。
塩屋のボス、松本さんのお友達の大工さんがガス溶断で切ってくれたのを、ワシらが運び出します。
この塩釜は7年前に近所の鉄工所のオヤッサンが作ってくれたそうです。
なんと、下の直火が当たる釜より2段目の余熱の釜の方が痛みが激しいらしく、すでに半年近く前に底面に穴が空いて使えなくなってしまってたそう。
なんと、鉄の塩釜は7年持たないのです。
中々に大変な事ですね、塩屋さん。
↓2段目の塩害で底に穴が空いたところ。
鉄板で塩釜を作った場合、直火が当たる釜はカルシウムなどの付着で釜自体は歪んでたけど痛みは少なく、逆に温度がしっかり当たらない2段目の釜の方はカルシウムもナトリウムも結晶化しないので、常に釜が塩水に触れていて痛みが激しいとのこと。
ボルトを焼き切って釜をバラしていきます。
そして、午後のオヤツの時間には何とか綺麗に片付きました。
簡単にした面のレベルを整えて、新たな釜を設置する準備をしました。
ここからは早かった。
陣さんの天ぷらカーがウィリーするんじゃないかってくらいの状態で積んできた鉄板を、現場で組んで溶接していきます。
陣さんがお世話になってる鉄工所で図面通りにカットしてもらってある鉄板、さすがに角揃えるとピッタリ。
木造とかでの建築もそうだけど、1つ真っ直ぐに立つとそれに準じて隣に立てていくのは割と簡単で。
1段目の焚き口もバシッと完成。
そして、焚き口のフレームを海水が入る釜を作る土台にして、直角を見ながら仮付けしていき、ホンチャンの溶接。
ここは海水が入るので、ピンホールとか許されません。
丁寧な溶接が要求される場面です。
そして、1段目の直火が当たる塩釜も。
こいつは形がシンプルでない分、箱を作るまでも大変だったけど、なんとか形になり。
この落としにカルシウムも落としては取り除き、その後結晶化した塩も落としては最後に残るニガリと一緒に取り除き、、、
と、一連の作業はまだ見た事ないものの、なんとなく作業はイメージできました。
でも、この大事な部分の溶接は楽でなかったですね(笑)
底面は反り止めのフラットバーを井ケ田にに組んでの溶接。
周りの溶接もだけど、釜が熱で歪まないように溶接棒1本使っては場所を変えてと、グルグル回りながら仕上げていきました。
しっかり溶接できた事を確認して、釜の中の溶接で飛んだ鉄クズやスラッジなどをサンダーでしっかり掃除して、据え付け。
1段目はカルシウムさえ付着し始めたらそれがプロテクターとなり、釜自体の寿命はかなり長持ちするとの予想からしっかり焚き口と溶接。
2段目は5~6年くらいで交換する事を前提として、フラットバーだけ溶接して8点で固定。
交換時はフラットバーを切れば、上釜はスポンと上に引き抜けて交換可能な設計。
完成ー!
したら直ぐにアク抜きやサビやゴミ取りの為に海水を焚くとの事。
溶接した我々からはドキドキの入水!
無事に2段目にしっかり海水が満たされ、その後1段目にも投入されます。
ここはジワッと滲むところ4~5カ所。
そこは外から溶接盛って止水に成功し、後から海水抜いて内側からもガッツリと盛り盛りで対処。
溶接で液体が漏らない箱が作り出せる事ができる体験は、今後の自分の物作りにおいても大きな自信となりました。
こんな貴重な体験をさせて貰えた機会を作ってくれた陣さんと松本さんに、本当に感謝!
で、海水が満たされたら、、早速焚き始めました。
ちゃんと煙も流れ、感慨深い想いが込み上げました。
まーホントによく燃えてて、3時間くらいで沸くらしんです。
ほぼ満水で、水平もキチンと取れてる事が確認できます。
やー、良い親方と良い棟梁のいる現場で、最高に気持ちの良い仕事をさせてもらいました。
暗くなりかけてたけど、最後に慌てて記念撮影。
子育てや日常の仕事から離れて、物作りという時間に一日中集中して過ごす事ができた中4日。 この時間は日常の自給的な暮らしの豊かさとはまた少し違った、学びの喜びと労働の喜びとに溢れた最高に幸せな時間でした。
陣さんと仕事できてホントに楽しかったですし、一緒に仕事できた事が自分の自信になりました。
松本さんの塩作りの人生が言葉の隅々から感じられ、沢山のことを学ばせてもらい、感じさせてもらいました。
陣さん、松本さん、ありがとうございました!
今回、1年の中でも相当に忙しいドンピシャのタイミングでの出張となってしまったけど、頑張って家を守ってくれてた嫁さんにも心から感謝。
おかげさまで、ボンヤリだった塩の自給が明確なイメージと実現可能な夢としてハッキリ見る事ができるようになりました。
学んできた塩作り編は、後半のブログへと続きます。