岡山の刀鍛冶職人さんを訪ねたよ。 | ~豚飼いと天ぷらカーと子育て~ 桜の山農場のブログ

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地域循環による豚飼い、無農薬有機農法による米作り、可能なエネルギーの自給、、を模索する日々のブログです。
生活の中で思い感じたこと、作ったものや息子の成長記録などを刻んでいけたらと思います。

本日、毎月月末の岡山への豚の出荷の流れで、以前から噂はお聞きしていた岡山市東区あたりで刀鍛冶をされてる横井さんのお宅と工房へお邪魔させてもらいました。



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横井さんの娘さんは二人とも愛農生で、現在我が家で研修中のウサちゃんと横井さん次女が同級生であることから、本日の見学の機会を作ってもらえる運びとなりました。


横井家の皆さま、今日は本当にお世話になりました。


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まずは挨拶もそこそこに作品を見せていただけることに。



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『刀の手入れ』というやつを見せてもらいました。


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知らなかったんだけど、本来 刀は斬り合うための道具のようです。


合戦などの場で刀で斬り合うそうですが、そこで刀が折れるという事は、命を落とす事と同じ意味であり、つまり刀は命なのでしょう。

刀鍛冶にとって、戦の場でお宅の刀が折れたと言われる事は 本当に不名誉な事なのだそうです。




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そんな話を聞きながら、芸術品のような輝きを放つ宝石のような刃物。


やー、これはすんごい世界見せてもらっちってるなと変な汗出ました💦



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刀鍛冶のオヤッさんが魂込めて打ちあげた刀身を、今度は研師さんが刃をつけるのだそうです。


手作業で、砥石で研ぐそうなんだけど、もお人間業とは思えないような繊細な刃物でした。



これ、戦さ場でチンチンやったら刃がこぼれちゃうじゃん!


なんて思いつつ。




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神がかり的に繊細に研ぎあげられた刃は、微かな砂埃などが擦れるだけで刀身に傷が付くため、綺麗な服で静かに座して見ます。

唾が飛んだらいけないので、基本刀を持つときは口も開いたらいけません。




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時代劇で見たことある、あのシーンです。



砥石の一番目の細かいヤツの、、ノロを水簸して乾かした砥石の粉、、、と説明を受けたと思います。

(細かいところ、記憶違いの可能性もアリ)



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この芸術品のような刃物を美しい状態に保つため、年に数回は砥石の粉で吹きあげて、精製された椿油でスーッと拭きあげて、、
という、『手入れ』が必要となるそうです。



我々も、日本刀を見るときの作法を教えてもらってから、手にとり見せてもらったりなんかもさせて頂きました。







そしてその後、工房で鉄を叩く体験もさせてもらうというゴージャスツアー。


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これだけの空間で仕事してるんですか?


と言うくらい、刀作りは一つの場所でひたすら鉄を打ち続けておるのだそうです。



その地方の刀の特徴を出すためには、その地方で取れた砂鉄を使わなくては、、云々。


おお、なるほど!



と思うものの、その想いを刀の形にまで実現していくのが、どれほど大変な作業なのか、、ちゃんと質問するだけの知識もなく理解はできてないのですが。



オヤッさんの刀作りは、材料からメチャこだわってる事は理解しました。




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赤松の炭だそうです。


1300度まで火力が欲しいとかで、堅気の炭とかじゃダメで、赤松じゃないといけんのだそうです。


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愛にフイゴのお手伝いをさせてもらいました。


ただ吹きあげてもダメで、火加減が中々に難しい。




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これは絵的にはオイシイけど、ちょっと風が強すぎと言ってた、、気がします。



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そして、打って薄く伸ばしていく。







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目標の薄さまで叩けたら切ってくとか。


この鉄の板で包丁6本くらい作れるそうです。





その後は、みんなで叩かせてもらうことに。




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刀は時代が違えば、成人した武士の必需品、、だったのでしょうか。



日本刀のお値段を伺ったところ、新車の乗用車と同じくらいでした。


我々は車を必需品として色々悩んで買ってるけど、武士も金額的には同じような大きな出費を背負った上で自分の命を預ける刀を、信頼できる刀鍛冶さんから買ってたのかなと、想像は膨らみます。


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大工と家具職人では道具も仕事の仕方も世界観も違うのとおなじで、鍛冶屋さんも、鍬や鎌などの生活雑多品を作るのと、ノミやカンナを作るのと、刀を作るのとではそれぞれ道具ややり方が全部違うそうです。



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我々は農業を生業としてますが、日々使う道具を鍛冶屋さんの魂がこもった作品などは一つも持ってません。


なかなか出会う機会がないし、自分から買い求めたことも恥ずかしながらありません。


鍛冶屋さんという職業は、安い工業製品のあおりを受けて社会から追いやられて肩身の狭い思いをしてる仕事の一つなのかもしれません。


でも、物作りの現場を見せてもらい、沢山の職人の人の手仕事の末、完成された技術の結晶の、道具。



この素晴らしい道具を作る技術が、鍛冶屋という職業がもっと必要とされる社会になって欲しいです。


ワシも、毎日使う道具を職人が手作りした作品に、一票を投じれる買い物をしなきゃなと思いました。



鍬や鎌でさえ鍛冶屋さんになかなか出会う事ないのに、刀鍛冶さんなんて本当に希少なんだろうなと、知らない世界ながら思います。



日本刀作り、すごい技術を目の当たりにしました。
10年先も100年先も、この技術が受け継がれている事を願います。

そんな事を思いました。




この度、快く迎えてくださった横井家の皆さま、改めてお世話になりました。
ありがとうございました。