私は29歳で結婚してから

「子供はほしい気もするけど、今じゃなくてもいいよなあ・・・」

「子供ができたら、私の性格上かかりっきりになるから、

まだまだやりたいことがいっぱいあるのに、それができなくなるなあ・・・」

「じゃあ、いつだったらいいのかなあ・・・」

「いつか、子供を生む日はくるのかなあ・・・」

のようにダラダラと思っていて、

夫ともそんな会話をしていました。


そんなとき、病気になり、医者から

「あなたの体では、妊娠、出産は命に関わります!いけません」

と言われました。


それから何年かして、

「さすがに、子供が生めなくなる年令になるまでに」

と、ずっと先延ばしにしていた大手術を思い切って受けようと、入院しました。


ところが、

検査を担当している30代くらいの女医から

検査によって判明した病気の詳細や、手術についての説明を受けたときのこと。


私が彼女に

「手術をしたら生んでもいいんですか?」

と聞いたところ、

「手術しても無理です。というか、手術をしても病気は治りません」

と言われました。


さらに、それでも何度も子供についての説明を求める私に、彼女は

「子供なんて、別にいいじゃないですか」

と言いました。


あ、あなただって、女じゃないか!

あなたはいらないかもしれないけど、でも、でも、

子供「なんて」って、なんだよーーーーー!!



と、私は悲しみといきどおりを覚え、


このまま危険な手術をしても、

治らないし、生めないし、手術で弱った体で生きていくなんて、

日本にいてもお先真っ暗だ!!なんの希望もないよ!!!

うわあああああーーーーー!!!



と、その翌日に病院から勝手に帰宅して、

すぐに準備をはじめて、インドに飛び出した、という経緯があります。

(病院にはあとから夫に

「手術について、ゆっくり考えることにしました」

と伝えてもらい、退院の手続きもしてもらった)


インドに飛び出した理由は、ほかにもいろいろあるのですが、

最後に背中を押した理由がそれでしたね。


というわけで、

私はこれまでも、これからも、子供のいない人生なので、

妊娠とか出産は、他人事でした。



多くの独身の人たちも近い感覚かもしれませんが、

「保育園が足りない」

などと言われても、

我がことではないですし、少なくとも私にとっては

「大変なんだねえ、世の中はそうなっているんだねえ」

という感覚なのです。


恋愛や結婚について本を何冊も出していて、

女性とたくさん話すことがあっても、

妊娠、出産、育児、などのことは、

やはり客観的に「外側から」見ている話題だったのです。





ところが、私の友人といえる女性たちが、

最近出した以下の2冊の本を読み、

私の「妊娠、出産、育児」への考え方が、

完全に変わりました。







2冊とも、独身、既婚、子供あり、なし、男性、女性、といった属性を問わず、

読んだほうがいいと思う本です。


自分が生んだり、育てたりしていない人というのは、

多かれ少なかれ、

「妊娠、出産、育児とはこういうものだろう」

という思い込みがあるのではないかと思います。


私は、自分に「思い込み」があった、

それどころか「思い込み」しかなかった

ということに、この2冊を読んで、はじめて気づきました。



先に読んだのは、

◎恋愛研究者ANNA×はるな檸檬の本音でビシっと恋愛相談

第1回:今の関係はマジックミラー!セフレ・セカンドから本命になるには?
現在第7回まで掲載)

でコラボ連載をしている、はるな檸檬さんの

れもん、うむもん!

でした。


この本は、はるな檸檬さんの体験を描いたマンガです。


彼女が妊娠、出産、育児について

「こういうものだろうな」と思っていたことが、

実際に体験してみると、

「思てたんと、ちがう!」

と感じることがたくさんあった。

それを、彼女の視点で、リアルに、具体的に描かれていたところがすごいですね。


たとえば、妊娠する前は、

妊婦とは、

お腹に手を当てて、そこにいる赤ちゃんへの愛しさと幸福感を感じたりする、

という、母性でいっぱいのイメージを持っていたが、

実際に妊娠してみれば、母性なんて湧いてこないし、

腹はただの腹だし、ひたすらつわりで気持ち悪いだけ、とか。


赤ちゃんを生めば、おっぱいは勝手に出てきて、赤ちゃんはそれをゴクゴク飲むものだ、

というイメージを持っていたが、

いざ赤ちゃんを渡されて、

「え、これどうしたらいいの?」

と戸惑い、

さらに、飲ませてみても、おっぱいが出ないとか、おっぱいを飲まないとか、です。


私は、どれも経験したことがないにもかかわらず、

自分がはるなさんになったかのように、

妊娠、出産、育児を、彼女の「内側から」、

リアルに感じることができた
のです。


そしてなによりも心に残ったのは、

出産というと、

(特に、生んだことのない人や、ずっと昔に生んだ母親世代などからは)

「おめでとうーー♪」

「かわいいでしょーー♪」

「幸せだねーーー♪」


のようなノリで、100%幸せなこと!として祝われる。


しかし、現実の生んだばかりの自分はというと、

疲労困憊で、不安でいっぱいで、不安定。


にもかかわらず、

そのめでたいムードの中で、そんな様子を見せられないから、

ますます孤独を感じていく


という部分でした。


もちろん、妊娠も出産も、100人いたら100通りで、

同じ人はけっしていない
ので、

はるな檸檬さんの体験記を読んで、

「妊娠や出産って、こういうものなんだ!」

と固定観念を持ってはいけません。


でも、私は、妊娠や出産をした女性に対して

「この人にも、本人にしかわからない、つらさや不安が、あるかもしれないんだ」

と思うようになったので、

脳天気かつ無責任に「よかったねー、おめでとうー♪」と思ったり言ったりする、

ということはなくなったと思います。


本当にリアルな妊婦、新米母の感覚が伝わってきて、

読む前と読み終わったあとでは、意識がまったく変わりました!





そして、「れもん、うむもん!」から少し経って読んだのが、

3人の子供を生みながらも、自身の会社を上場させた、

経沢香保子さんの「すべての女は、自由である。」でした。


私はこの本を読むことで、

自分の中の「昭和のおじいちゃん、おばあちゃん」と同じ「思い込み」

気づくことができました。


この本を読んで一番残っているのは、

「昭和の育児」から「平成の育児」へ、というコンセプトです。


私の中の子育ての常識というのが、

昭和で止まっていたのですよ。


本の中にも出てくる「3歳児神話」をはじめ、

子供には母親がずっと近くで面倒を見てあげればあげるほど

子供の情緒が安定する、とかですね。

しかし、現代は、専業主婦でいられる女性のほうが少なくなっています。

状況が昭和とは違うのですよね。


読んで、

「はうううっ・・・・!!」

と、ノックアウトされたのは、


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ハーバード・ビジネス・スクールの研究結果によると、

働く母親に育てられた女の子は、

職場で重要なポジションにつき、

自分もワーキングマザーになり、

収入も高い傾向にある。


----------

という部分です。


ついでに、

----------

働く母親に育てられた男の子は、

家事貢献度が高い傾向という結果に。


----------

とのことです。


ネット検索をしてみると、

この研究結果は、

先進24カ国の男女3万人から集めたデータを分析したもので、

働く母親の娘の多くはフルタイム仕事に就いており、

さらに管理職に就いている人も少なくなく、

仕事を持たない母親の娘よりも23%も高い収入を得ている

ということが分かったそう。


もちろん、収入が多いことが無条件に素晴らしいとは言い切れませんが、

それでも、これを読んで、私は、

「いったい、なにがいいのか、悪いのかなんて、わからないじゃないか・・・」

と思いました。


数年前、

「凍りついた瞳」という、児童虐待に関するドキュメンタリー漫画を読みました。

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また、虐待やネグレクトなどに関する記事や報道を目にすることもあります。


それらの中には、虐待され、

体はやせ細り、心が凍りつき、無表情になってしまった子供が

病院や施設に預けられて、愛情いっぱいに育てられると、

心身が健康になり、だんだん笑顔が戻ってくるという様子が出てきます。


私は以前から、そういう場面を目にするたびに、

子供を育てるほど成熟していなかったり、

育児ノイローゼになったりしている親が、

子供に手をあげたり、ひどく怒鳴ったり、子供を無視したりするくらいなら、

母親と一緒にいないほうが、子供にとって幸せだということもあるのではないのか?

なにがなんでも、「生んだ親だから」という理由で

一緒にいなければ子供は健全に育たない、というのは違うのでは?


と思っていました。


また、成熟した知的な女性たちであっても、

小さな子どもと一日中笑顔で、

機嫌よく接することができないこともあるようです。


疲れていたり、精神状態がよくないときには、

「はいはい、あっち行ってて」

「うるさい、静かにして」

「お母さん、そういう子は嫌い」


などと言ってしまい、それで自分を責めたりしてしまったり。


それなら、ときどきは優しいお姉さん(お兄さん)に

遊んでもらったり、面倒を見てもらえば、

子供も楽しいし、イライラをぶつけられずにすむし、

お母さんも自分の時間を持てる。


そうすれば、お母さんと子供、両方にとって良い関係になれるのでは、と、

経沢さんが行っている

「キッズライン」という、オンラインのベビーシッターサービスについて読んで、

思いました。


くりかえしになりますが、私自身は出産も育児もしていないので、

この記事で書いてきたことは的はずれな部分があるかもしれませんが、

それでも、自分のカチコチの固定観念が少しは柔らかくなったと思います!


これらの本は、女性であり、子供がほしかった私より、

おそらく、さらに頭が固いであろう、

そしてまだまだ社会で力を持っている男性たちに読んでいただけたら、

そして、彼らの出産や育児への見方が変わったら、

もっと優しく平和な世界になるのでは、と思いました。


結局、誤解とかケンカというのは、

相手の立場に立てないから起こるのではないでしょうか。

男性と女性と、生んだ人と生んでいない人と、

みんなが理解しあっていかれたらいいですね。


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