アイコンママブロネタ「妊娠&出産」からの投稿


「帝王切開」ということばは、妊娠・出産の近辺にいる人ならだれもが聞いたことはあるでしょう。「お母さんか赤ちゃんに何らかの問題が生じて、経腟分娩(通常のお産)が難しいと判断される場合に、麻酔をして、手術でおなかと子宮を切開して、赤ちゃんを出産する方法」のことです。いざというときの救命手段だった帝王切開は、自然分娩があたり前という意識が強かった日本でも現在は分娩件数全体の20%、5人に1人となっているそうです。

この本のサブタイトルは「産前・産後すべてがわかる安心 産前・産後のすべてがわかる安心ガイド」。帝王切開というお産のすべてがわかる画期的なガイドをご案内します。
ママのための帝王切開の本―産前・産後のすべてがわかる安心ガイド/中央法規出版

2013年8月発行

≪目次≫
はじめに
第1章 帝王切開の基礎知識
1.帝王切開とは
①帝王切開は5人に1人
②日本で帝王切開が増えている理由
 ライフスタイルの多様化による産む側の変化
 社会的理由
  
2.帝王切開になるケース 
①予定帝王切開の適応 お母さん側の理由(母体適応)
 既往帝王切開
 児頭骨盤不均衡(CPD)、狭骨盤
column 軟産道の異常
 前置胎盤・低置胎盤
 多胎妊娠
 母体感染症
 子宮手術の既往
 子宮筋腫
 母体合併症(お母さんに病気がある場合)
 高年初産婦
②予定帝王切開の適応 赤ちゃん側の適応(胎児適応)
 骨盤位(逆子)、横位などの胎位
 反屈位などの胎勢異常
 巨大児
column 妊娠糖尿病
 子宮内胎児発育遅延
 胎児形態異常、胎児疾患
③緊急帝王切開の適応 お母さん側の理由(母体適応)
 遅延分娩、分娩停止
 子宮内感染
 重症妊婦高血圧症候群
 常位胎盤早期剥離
 子宮破裂徴候(切迫子宮破裂)
④緊急帝王切開の適応 赤ちゃん側の適応(胎児適応
 胎児機能不全
 臍帯下垂、臍帯脱出
 妊娠週数が早い未熟児の場合
 常位胎盤早期剥離

3.帝王切開のメリットとリスク
①帝王切開のメリット
 赤ちゃんへのメリット
 骨盤臓器脱のリスクが低くなる
 産後1年での尿失禁の頻度が低くなる
 精神的な負担が軽減できる
 予定がたちやすい
②帝王切開のリスク
 術後血栓症のリスクが高くなる
 次回妊娠時に前置胎盤になりやすい
 帝王切開の回数が増えるほど癒着胎盤、膀胱損傷、子宮摘出のリスクが増える
 子宮摘出のリスクが増える
 次回妊娠時の子宮破裂のリスク
 麻酔の合併症
 手術創部
 赤ちゃんへの影響

4.帝王切開を行う場所
①助産所とは
お母さんが気になるQ&A
Q1 どのような理由で帝王切開になるのでしょうか。
Q2 妊娠何週で帝王切開になるのでしょうか。
Q3 帝王切開は希望できるのですか。
Q4 子宮の病気と帝王切開は関係ありますか。
Q5 不妊治療をしたり、高齢出産になると帝王切開になりますか。
Q6 人工中絶と帝王切開は関係ありますか。
Q7 前回、帝王切開だと次もそうなりますか。
Q8 子どもに悪影響はありますか。
column 帝王切開情報サイト「くもといっしょに」 
Q9 助産院や個人病院と大きい病院では、どちらがいいですか。
Q10 医療費はいくらかかりますか。
Q11 入院日数はどれくらいですか。
Q12 母親教室で帝王切開の説明はありますか。

第2章 手術前までのこと
1.予定帝王切開の場合
①予定帝王切開を行う時期
 妊娠38週前後
 手術日の決め方
②同意書/承諾書(予定帝王切開の場合)
③手術までのスケジュール
④手術前に準備しておくこと

 バースプランをたてる
 本人・家族のスケジュール調整をする
 入院中・産後のサポート体制を整える
 入院の準備をする
 お母さんの体調を整えておく
 NICUに入院が決まっているときには
⑤手術前の検査
⑥手術が不安なとき

column 本当に納得していますか?

2.緊急帝王切開の場合
①手術前の検査
②同意書/承諾書(緊急帝王切開の場合)

お母さんが気になるQ&A
Q1 妊婦健診で確認することはありますか。
Q2 医師や看護師に個別に相談にもってもらえますか。
Q3 帝王切開でも陣痛はありますか。
Q4 医師から帝王切開か経腟分娩か選択をせまられました。
Q5 赤ちゃんの誕生日を決めてしまうことに抵抗があります。
Q6 バースプランはたてられますか。
Q7 個室と大部屋、どちらがいいですか。
Q8 入院時の必需品や便利グッズを教えてください。
Q9 同意書にサインしないと手術してもらえないのですか。
Q10 妻の支えになるために夫として何をしてあげられますか。
column 遺書を残すことを考える方も……

第3章 手術中のこと
1.手術にあたって準備すべきこと
①飲食の制限②剃毛/除毛③浣腸④着替え⑤点滴⑥最後の診察⑦導尿⑧膣洗浄⑨輸血または自己血の準備

2.帝王切開の方法
①麻酔 脊椎麻酔/硬膜外麻酔/麻酔薬注入後
column 麻酔の効き
②皮膚と下腹部の切開
③子宮を切開して赤ちゃんを取り出す
④子宮の創部を縫合しておなかを閉じる
⑤回復室へ戻る

3.赤ちゃんのケア
①へその緒を切り、出生直後のケアを行う
②お母さんに会う
③特別なケアが必要な赤ちゃん
4.分娩中の緊急帝王切開
5.超緊急帝王切開
6.帝王切開時の立ち会い

①立ち会いのルール
②夫が立ち会う意義
お母さんが気になるQ&A
Q1 自己血とはなんですか。
Q2 手術準備について教えてください。
Q3 導尿とはなんですか。
Q4 手術の流れを教えてください。
Q5 病院による手術方法の違いはありますか。
Q6 手術台は分娩台と同じですか。
Q7 手術中はどのような格好ですか。
Q8 おなかの切り方はどう決まるのですか。
Q9 おなかの縫い方を教えてください。
Q10 怖いので全身麻酔にしてもらえますか。
Q11 術後、麻酔が切れたらどうなるのですか。
Q12 麻酔のトラブルはありますか。
Q13 麻酔の影響で幻覚を見ることがあると聞きました。
Q14 麻酔の影響で頭痛になりますか。
Q15 医師がおなかの上に乗ることはありますか。
Q16 アイマスクを断れますか。
Q17 手術で赤ちゃんに傷がつくことはありますか。
Q18 研修医の見学を断れますか。

第4章 手術後から退院までのこと
1.出産直後のケア
①開腹後、からだをきれいに整えてから帰室する
②術後の観察と処理
体温、血圧、脈拍/尿/点滴/子宮復古/子宮底の変化/産褥血栓塞栓症の予防
③赤ちゃん、家族との面会
2.お母さんの産後のからだの変化と術後の回復
①産後のからだの変化
悪露/後陣痛/軟産道と骨盤底筋群/乳房(母乳分泌)
②手術後の回復の目安
3.退院までの過ごし方
①お母さんと赤ちゃんのスケジュール
手術当日/産後(術後)1日目/2日目/3~4日目/5日目/6~7日目/8~9日目
②産後の保健指導
授乳指導/調乳指導/沐浴指導/退院指導
③帝王切開後のエクササイズ(産褥体操)
4.帝王切開後のお母さんが抱きやすい複雑な気持ち
①帝王切開後のお母さんの気持ち
②堂々巡りから抜け出すために
③特別なこころのケアが必要なケース
お母さんが気になるQ&A
Q1 赤ちゃんにはすぐ会えますか。
Q2 母乳は与えられますか。
Q3 術後に痛みはありますか。
Q4 鎮静剤を飲んで母乳に影響がでませんか。
Q5 手術の後は絶対安静で動けないのでしょうか。
Q6 入院中の付き添いは必要ですか。
Q7 普通食はいつから食べられますか。
Q8 お風呂にはいつから入れますか。
Q9 術後ケアで大変痛い思いをしました。
Q10 傷痕が残らないようにするセルフケアはありますか。
Q11 産褥体操をしても大丈夫ですか。
Q12 看護師さんに気軽に相談してもいいものなのでしょうか。
Q13 どのくらいで退院できますか。
Q14 退院するときの服装は?
Q15 お見舞いはいつから受けていいのですか。
Q16 お見舞いで病院に配慮してもらいたいことがあります。

第5章 退院後のからだとこころ
1.退院後のからだの変化
2.退院後の生活の変化
①衣類②食事③居住(環境)
3.退院後のこころの変化
①マタニティブルーズ(マタニティブルー症候群)②産後うつ病
column 「元気で明るいお母さん」でいてもらうためにお父さんへのお願い
③お母さんが赤ちゃんよりも先に退院した場合
④次の子どもがほしくなったとき、妊娠したとき
お母さんが気になるQ&A
Q1 退院したらすぐに普通に動けますか。
Q2 いつから乗り物に乗れますか。
Q3 しびれが取れないのですが…。
Q4 排尿痛があります。
Q5 傷口から糸が出てきました。
Q6 全身に湿疹が出ました。
Q7 傷口から液が出てきました。
Q8 腹帯はいつまでつけるのですか。
Q9 傷跡は消えますか。
Q10 産後、生理が長くなりました。
Q11 歯医者にはいつから通えますか。
Q12 手術の後遺症はありますか。
Q13 手術により腸が癒着することはありますか。
Q14 友人や義母のこころない言葉に傷ついています。
Q15 周囲に帝王切開で出産したことを話せません。
Q16 子どもに愛着がわきません。
Q17 自分で帝王切開を選んだことを後悔しています。
Q18 問診票の「異常」の欄に丸をすることに抵抗があります。

第6章 次の子の妊娠と出産
1.帝王切開後の次の妊娠の注意点
①次の妊娠はいつごろから大丈夫か
とのくらい空けるのが適切か
出産後6カ月以降に妊娠した場合
出産後6カ月以内に妊娠した場合
②帝王切開は何回までできるのか
2.帝王切開後の経腟分娩(VBAC)
①VBACとは
②TOLACを選択できる条件とは
TOLACができる条件
TOLACではなく帝王切開が選択される場合
column 大切なのは産み方よりも育て方
3.次の子の妊娠と家族計画
①なぜ「家族計画」が大切なのか
②家族計画にあたって考えること
③バース・コントロールの基礎知識
女性ホルモンと排卵
授乳中は妊娠しない?
不妊治療経験があると妊娠しない?
④帝王切開後に適した受胎調節方法
卵管結紮/低用量経口避妊薬(ピル)/子宮内避妊用具/基礎体温法(オギノ式)/コンドーム
3.次の子の出産方法の選択について
column TOLACに挑んだものの2回目の緊急帝王切開になったAさん
お母さんが気になるQ&A
Q1 次の出産までどれくらい間を空けるべきですか。
Q2 帝王切開での出産は何回できますか。
Q3 切るところは前回と同じですか。
Q4 次の子を経膣分娩できますか。
Q5 医師から帝王切開を勧められたら、経膣分娩は無理ですか。
Q6 何回か帝王切開をしたら、避妊手術をしたほうがいいですか。
Q7 手術後の性生活に不安があります。
Q8 帝王切開は遺伝しますか。
Q9 上の子の育児が心配です。
索引
編著者紹介・執筆分担

この長い目次を打ち込むのにおもわずチカラが入りました(時間もかかりました…)。ご覧いただくとわかるように、出産が帝王切開になる場合の理由(産むお母さん側と生まれる赤ちゃん側の両面から説明されています)、メリットとリスク、手術前のこと、手術中のこと、手術後から退院までのこと、退院後の変化、次の子の妊娠と出産まで、からだはもちろん、気持ちまで、まさにすべてを網羅しています。各章ごとにお母さんが気になるQ&Aが設けられており、その数は全部で83にものぼります。帝王切開について徹底的に解説している本は日本初だそうです。

この本は、3人が作り上げたもの。少しでも安心できるための帝王切開情報を伝えたいと熱望していた産婦人科医の竹内正人先生、3回の帝王切開の経験から「大切なのは産み方よりも育て方」をコンセプトに体験者参加型のサイト「くもといっしょに」を立ち上げ、長年お母さんたちをサポートをしてきた細田恭子さん、助産師として帝王切開の研究を続けながら、自らも2回の帝王切開経験のある横手直美さんです。

特にメンタル面での気がかりについて知ることができるのが大きなポイントです。
まわりの人の生半可な知識や思い込みで発することばに傷ついたり、思い描いていた出産にならなかったと悔やんだり自分を責めたりする。残念なことによくあることですが、そんなときにはぜひ読みたい。
過去のご案内もご参考までに…
右矢印誤解しないで 帝王切開─NHK「あさイチ」2014年7月3日放送

帝王切開はこれから出産の人にとって「自分には関係ない」他人事ではありません。とはいえ、すべての妊娠中の人が読むべき本、ではありません。

「帝王切開」ということばを医師や助産師、友人や姉妹、はたまた娘や嫁から聞いて、何かしら疑問があれば、ぜひともご一読を。妊娠・出産にまつわる情報や逸話は玉石混交、都市伝説まがいのことも多々あります。惑わされてはいけません。
正しい情報を得ることが不安をやわらげますし、安心にもつながります。
パートナーが帝王切開になる、なったという男性は必読です。赤ちゃんの沐浴やおむつ替えや家事全般ももちろん大事ですが、知識を得てパートナーのメンタル面も含めて支えてください。「何をしてあげられますか」という疑問の答えも掲載されています。

わたしは最初の出産(15年前の1999年)が妊娠38週での予定帝王切開でした。妊娠・出産に関する本はいくつか読んでいましたが、帝王切開について書かれている項目はごくわずか。産院で先生や助産師さんの言うことをよく聞き、納得しての手術ではあったものの、陣痛を知らないお産はどこか「メインディッシュのないコース料理」のようで物足りなさをおぼえました。そこから「いったいお産とはなんぞや?」と調べたり、経験者に話を聞いたりすることをはじめたのです。

帝王切開になったことは、結果的にベストだったのだと受け入れているものの、悔いが残っているのは、妊娠中、さらに遡って妊娠前にもっといろいろと知っておくべきだったということです。当時のわたしは、なるべく余計な情報は入れないようにしていたかもしれません。

【産後の読書案内】というこのブログを立ち上げて出産前後に読みたい本をご案内しているのも、元をたどってみると、自身の帝王切開による出産がはじまりなのでした。

わたしの現在に至るまでの「原点」を思い起こさせてくれる一冊。これ以上のガイドブックは今後出てこないのではないか?と思えるほどの決定版です。

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