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本日8月6日は、大東亜戦争に於いて、広島市に原子爆弾が投下され、多くの方々が犠牲となった日です。

お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、日米両國が過去の過ちを乗り越え、より一層、同盟と友好を強化していくことを切望致します。


さて、みなさんは、20世紀スペインを率いた政治家、フランシスコ・フランコ総統(1892~1975)のことを知っていますか?

スペイン王国は、建国以来幾つかの王家により統治されてきましたが、18世紀に入ってからはフランスのブルボン家の分家が王位を継承し、以後はスペインでもブルボン家が王位を相続して、現在に至っています。現在の国王はフェリペ6世陛下で、昨年2014年に即位されたばかりです。

そんなスペイン王国ですが、一時、ブルボン家が王位を追われ、いわゆる左翼が国を乗っ取ってしまったことがありました。しかし、フランコは、見事にスペインを救い、ブルボン家に王政を復古させたのです。

かつては南米に広大な植民地を保有していたスペインですが、20世紀には、経済危機にあえぐ、既に大国とは呼べない状態になってしまっていました。そんな中、1931年(日本では満洲事変があった年です)、左翼勢力による無血革命が勃発し、国王アルフォンソ13世陛下は退位を余儀なくされ、他のブルボン家一族共々、国外に亡命したのでした。

ここに、いわゆる左翼勢力にによる「人民戦線政府」が誕生しました。しかし、これに対するスペイン国民の反発は大きなものがありました。

そして、ついに、当時スペインの植民地だったモロッコ北部にいた軍隊が反乱を起こしたのです(1936年)。反乱軍を率いた人物こそは、後に総統となる、フランシスコ・フランコ将軍でした。

フランコ率いるモロッコ駐留軍はスペイン本土に上陸、左翼人民戦線政府との戦いに連戦連勝していきます。これに呼応して本土でも反乱が勃発、スペイン内戦(1936~39)が始まったのです。

スペイン内戦は、1939年にフランコ軍が首都のマドリードを制圧して終結、左翼人民戦線政府は敗北して崩壊しました。

スペインの独裁者となったフランコ総統は、以後、1975年までの足かけ36年の長きにわたって、スペインを統治していくこととなりました。

実は、「独裁者」といっても、フランコの場合はいわゆる左翼人民民主主義国家のような全体主義とは異なります。フランコ独裁政府は、「専制政体」とも呼ぶべきものなのです。

全体主義と専制政体の違いを説明しておきます。全体主義とは、ルソーの思想に基づき、全人民に政治への参加を強要、強制します。ソ連ロシアや支那中共、北朝鮮などがその例です。

しかし、専制政体とは、国家が全体主義へと落ち込むことを防止する為、あえて国民の政治への参加を制限します。つまり、専制政体は全体主義を排撃する為のやむを得ざる政体といえます。フランコ総統や、中華民国の蒋介石総統などがその例です。

このように、全体主義と専制政体は外見上は非常に似通っているのですが、内実は正反対というよりもむしろ敵対している、といっても過言ではありません。事実、スターリンはフランコと蒋介石を蛇蝎のごとく敵視し、ありとあらゆる誹謗中傷を流して両者の名誉を毀損することに努め、コミンテルンに於いても両者を滅ぼすことが決議されました。

さて、フランコ総統は欧州大戦においては中立を保持し、戦後に於いてはアメリカに接近して友好関係を深めました。

そして、総統に就任して数十年、かつての人民戦線政府成立を支持し、左翼思想に感化されてしまっていた世代の人たちが死去していったのを見計らって、フランコは、ついにブルボン家に大政を奉還し、王政復古することを公表したのです。

独裁者として振る舞うフランコは、当然ながら多くの憎悪を受けました。時に枢軸国に寄り、戦後はアメリカを中心とする西側陣営に属したフランコは、様々な毀誉褒貶を受けました。しかし、本心を一切明かすことなく、独裁者としての謗りを甘受してきたフランコは、最後に王政を復活させる一心で、その生涯をかけてきたのです。

フランコは、外見上は独裁者としてスペインを私したように見えましたが、その本心はいつか必ず、ブルボン家にスペインを奉還することでした。古きよきスペインを取り戻すことでした。

政治というのは、本心を決して明かし得ないことが多く起こり得ます。我々の日常生活のように、何でもかんでも開けっぴろげにして、言いたいことを言いたい放題に言っても問題ない、などということは、政治の世界ではありえないのです。

目的に向かって、様々な誤解を受けつつも、淡々と着実に、何も言わずに歩んでいく。

フランコは、自分の死後にアルフォンソ13世の孫、フアン・カルロス1世陛下が王位を必ず継承することを遺言して亡くなりました。フランコは、光輝ある由緒正しいスペイン王国を復活させた英雄でした。そして、真の意味での政治家でした。

みなさんは、フランコ総統の生涯について、色々とご意見はお持ちだと思います。ただ、私は、フランコという一人の男の生涯を通じて、政治家とは何か、を感得して頂きたいと思い、ここにご紹介させて頂いた次第です。