新たな友となるCX-5 XD Exclusive Mode(特別仕様車) 2WD(FF)です。
3月20日の納車から3日後、350km程度の走行を終えたところで、同じディーゼルターボであるBMW320dツーリングMスポーツと比較してみました。
まず、エンジン音です。
CX-5は極めて静かで、アイドリングで外から聞くエンジン音はガソリン車レベルです。
車検証記載の近接排気騒音規制値では、BMWが平成10年規制96dBに対して、CX-5の方は平成28年規制の73dBとなっています。
走り始めてから加速しても、その音量はガソリン車並みの静粛性で、音質もディーゼル特有の濁性の雑音が無く、柔らかい滑らかなものです。
ですが、急加速した時に唸りを上げると、なかなかスポーティです。
シートポジションは、BMWがゴーカート風に足を伸ばす超低いセッティングで、電動サイドサポートのスポーツシートはウレタンが固く、しっかり体を固定します。
視線が低くウインドウが高くなり、最初はフロントノーズが見えず恐い感じでした。
CX-5はSUV特有の視線の高いポジションで、座った膝の角度は自然です。
ウレタンが柔らかく、ナッパレザー(上質本革)もソフトですが傷付きやすいです。
CX-5のパワーシートの可動域は広く、どんな姿勢でも対応ができそうです。
ただ、チルトステアリングのテレスコは前後可動域が短めで、シートを後ろに下げた場合は、腕をまっすぐ伸ばさなくてはなりません。
BMWは、かなり体に引き付けたステアリング位置が取れます。
エンジントルクの出方は、BMWはググッと押される強いトルクを感じ、CX-5はトルクが抑えられ、滑らかでマイルド感がありガソリン車に似ています。
BMWの低回転から盛り上がるトルク感は、今までにない感覚でした。
これは最大トルクが、BMWは2Lエンジン38.7kgm/1750回転~対して、CX-5は2.2Lエンジン45.9kgm/2000回転~で数値上では有利ですが、ターボのタイムラグとピークまでのトルクの出方の違いでしょうか。
CX-5は、最大トルク時の2000回転でシフトアップします。
ポテンシャルは、馬力やトルクの数値ではないことが証明できます。
また、BMWが8速ATなのに対して、CX-5は6速ATのため、シフトアップの素早さと滑らかさはBMWが数段上です。
数値上は低いトルクでも、力強さと小気味良さは素晴らしいものです。
やはり、この辺は「駆け抜ける喜び」を感じるBMWの技術力には勝てません。
BMWのパンチの利いたエンジンの力強さと卓越した足回りはメリハリがあります。
深いバケットタイプのスポーツシートに座り、太いステアリングを握ったものなら、走らざるを得ない気分になってしまいます。
最初は「どうだ、走ってみろよ!」と語りかけてくる挑戦的なものを感じました。
一度だけ、普通に走っているつもりでも速度違反切符を切られました。
ボディ剛性も、BMWが圧倒的に上回っており板金の厚みもかなりあります。
ガッチリした躯体で重いドアを閉めた時にガツンという大きな音が出ます。
対して、CX-5は剛性感は感じられず、しなやかなボディという印象です。
高張力鋼板の軽い板金でドアを閉めた時にバフっとソフトな音が出ます。
ブレーキについては、BMWは素晴らしいタッチで踏めば踏むほど効き、弱いタッチから吸い付くように効き始めます。
CX-5は、試乗車の効きが悪い印象でしたが、現車はBMWほどではありませんが、似たような効き味です。
因みに、今まで乗った車で一番効きが良かったのは、妻が現在乗っているゴルフGTIです。
BMWはやや重い太革巻きステアリングですがクイックで、コーナリングのトレース感は今まで味わったことのないものです。
前車にすぐ追い付いてしまい、峠道では当たり前のように道を譲られます。
峠のカーブではどんな車にも負けず、後続車を引き離す快感がありました。
CX-5は、細めの革巻き小径ステアリングが軽くて非常に扱いやすく、柔らかい加速感とまろやかなトルク感でゆったり走るのに向いています。
足回りも柔らかく路面情報が伝わりませんが乗り心地が良くなっています。
高い視線でのんびりくつろいで旅をするのに向いています。
CX-5は、横滑り防止装置やトラクションコントロールは当然ながら、Gベクタリングコントロールプラスという新機能が備わっており、従来の挙動制御に加えて、車両姿勢安定化制御を持ちました。
ターンイン・ターンアウトのロール感を抑え安定性を向上させています。
急カーブでボディが傾かず、水平維持機能は優れていました。
レーダーでコントロールするオートクルーズ機能は、BMWが上です。
前車追従機能で、BMWは加速性能が高くほぼ車間距離が維持されます。
CX-5は発進加速が遅いため最初の出足で大きく前車との車間が開きます。
CX-5の先進的なセーフティ機能は10種類あり、目を見張る進歩を感じます。
機能の詳細は割愛しますが、以下の合計17個の検知装置が付いています。
CX-5は、LEDの外装・内装の多様化や快適性も文句ないレベルです。
後席含む4席シートヒーター・ステアリングヒーター、夏にはシート背面から吸気して冷却するベンチレーション機能など、とにかく、いたれりつくせりの装備です。
オーディオ装置の比較ですが、夫々大きな特徴があり異なります。
CX-5の10スピーカー(トランク内蔵サブウーファー)のBoseサウンドシステムは、BMWの標準システムと比較して中高音が澄み切って心地よい音質ですが、重低音の響きはBMWの方が圧倒的に良く、CX-5は物足りません。
ベース設定を最大にしても重厚な低音がでません。
トランクルーム床でじかに聞きましたが、一応振動して鳴っています。
BMWのトランク内臓サブウーファーの重低音は地の底から響くものがあり、通常のスピーカーでは出せないような際立った超重低音を再生します。
走行中は、CX-5のオーディオシステムが自然で良いと思いました。
長時間音楽を聴いている時は、CX-5の遮音性能とナチュラルな音域で、歌詞が耳に入ってきます。
Boseの騒音除去システムの効果があるようです。
BMWは停車中は良い音がしますが、走行中はタイヤ音が気になるため、ほとんど歌詞が耳に入りませんでした。
CX-5の試乗車は4WDでしたが、購入したのは2WD(FF)です。
2WDの方が60kg軽いのと後輪駆動軸の摩擦が無いためか軽快です。
長距離を走ってみて、通常の道路と天候なら2WD(FF)で十分だと思いました。
BMW320dツーリングMスポーツとCX-5 XD Exclusive Modeを比較して、どっちが良いか?という問いかけは愚問で、夫々に良さがあります。
走りとコーナーリングを楽しむなら、間違いなくBMWです。
CMのとおり、「駆け抜ける喜び・アジリティ」を追求しています。
速くなるほど、どっしりと路面に吸い付くような安定性は日本車では味わえません。
快適性や気楽さを追求するなら、間違いなくCX-5です。
力もあるけど、優しくマイルドに包んでくれる「走る歓び・人馬一体」です。
まるで、ふんわり宙に浮いて滑るような乗り心地で、心地よい空間を与えてくれます。
燃費は、信号の極めて少ない県境越えから若狭までの長距離条件で比較して、BMWは平均18km/Lに対して、CX-5は平均16km/Lでした。