あまりつらい思いはしたくない。苦痛から逃げるのって本能だと思う。

 昔っから私は友達が欲しいと思っていたが、なかなか友達は出来ないものだなとつくづく思うようになった高校1年生の夏。

 小学生の時から、私は友達が居ない。自分から声をかけることが全然出来なかったのだ。話しかける相手はせいぜい、教師だけだった。教師が救いなのであった。

 どうして、声がかけられないの、どうして、友達が居ないの。そう問いかけても返らない答えが心臓をグルグル苦しめるのであった。

「あそぼー」

「おまえだいじょうぶかー」

騒ぎ騒ぐ声、私はその輪にすら入れない。入りたくてもなかなか入れない。

「……」

私はひとりで席に着くほうがすごく似合っている。それくらいのレベルに違いないんだ。

「さりなちゃんは友達居ないよね」

「あの子なんなんだろー」

なんで、どうして、そう言う風に言われないといけないの。

なんで、あの子達は友達が居るのかな。
さりなの苦悩を知ろうとする者は当然いない。

どうやってして、友達は出来るのだろう。さりなの悶々とした気持ちは消え去ることなく小学時代を終えた。
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