最初お話→Reactivated Love1
前回のお話→#58A
Reactivated Love 2
#59S
愛しい人の住む部屋を見上げる。
松潤は確かに雅紀を送り届けたと、
そう言った。
暗い、部屋。
風呂・・・だろうか。
あの雨の夜を思い出す。
理由も何も
サヨナラさえも言わないまま身勝手に去った俺を
雅紀(キミ)はホントのところはどう思ってる?
勝手だけど
俺には恨みつらみを受け止める覚悟はある。
でも
きっと雅紀(キミ)は本当の気持ちをぶつけではくれないから
今の俺が雅紀(キミ)にできること・・
ありのままを伝えて
愛していると
俺の愛する人は雅紀しかいないのだと告げること
もう一度
傍にいることの赦しを乞いて
この腕に抱き締めたい。
見上げた暗い部屋に人影が映った気がして目を凝らした。
音もなくスライドしたそこから現れたのは
紛れもなく、愛しい人の姿だった。
蒼白い月の光に浮かび上がるその姿があまりにも細く
あまりにも儚げで言葉を失くす───。
あんなに、痩せっぽちだったろうか・・・
手摺に両肘をついて月を見上げている、
その艶のある髪がサラサラと風に撫でられ揺れるのが見て取れる。
触れたい、
今すぐ抱き締めてキスしたい。
刹那、その閉じた瞳(め)の端からキラリと
月光を反射する細い線を見た。
・・・あれは、
涙───・・・
ドクン、と、
胸の奥の深いところが
撃たれたように鈍く脈打った。