今朝の外交部会では、北朝鮮による弾道ミサイル発射、日フィンランド首脳会談、日EU定期首脳協議、フィリピン大統領選挙、インド太平洋経済枠組み(IPEF)について議論した。

 

昨12日、北朝鮮は新型コロナウイルスのオミクロン株感染者について、感染爆発が起きており、18万7800人余りが隔離され、治療を受けていると公表した。同国の国営テレビでは、緊急政治局会議を開く、初のマスク姿の金正恩総書記を放送、危機感の現れを演出した。

しかしながら、自国民のコロナ対応よりミサイル発射を重視する金総書記は、国民の命に背を向けるかたちで、昨12日18時28分頃、3発の弾道ミサイルを日本海一帯に発射した。

日本海が実験場になっているなかにおいて、我が国はこの状況をこれ以上黙認し続けることはできない。ミサイル発射に止まらず、核実験の準備も進めている北朝鮮に対し、追加制裁を強化すべきである。しかしながら、同国による相次ぐミサイル発射を受け一昨日開催された国連安全保障理事会の緊急会合では、欧米諸国が制裁の必要性を訴えるなか、中国とロシアは制裁強化に反対を表明した。

佐藤からは、安保理はほとんど機能不全の状況であり、それであるならば、有志国と組んででも追加制裁を行い核実験を止めなければならないこと、加えて、北朝鮮に対して唯一ものが言えるのは中国であるところ、同国に対する強い働きかけも必要であると述べた。北朝鮮の核実験は我が国にとって脅威だが、中国にとっても水源等に影響が出かねない懸念がある。林外務大臣は、早期に王毅外務大臣と電話協議の上、中国から北朝鮮に対し「核実験やめろ」と働きかけるよう、強く促す時期に来ている。

 

フィリピン大統領選挙に関しては、マルコス元上院議員が大統領の就任を確実にし、一昨日にはバイデン大統領、習近平主席が電話で祝意を伝えている。米中の駆け引きは既に始まっており、岸田総理も、一刻も早くマルコス氏に祝意を伝え、我が国もフィリピンとの協議を開始すべき。マルコス氏は「中国寄り」との指摘もあるところ、我が国は、サラ・ドゥテルテ副大統領等これから任命される閣僚等との関係性も強化しつつ、フィリピンとの連携を強化させていく努力が必要。フィリピンの安定はインド太平洋の平和と繁栄に不可欠であり、外務省からの働きかけを強く求めたい。

 

IPEFは、米国が主導するインド太平洋地域の新たな経済の枠組みであり、日本や豪、ニュージーランド、韓国等が参加するかたちで月内にも正式に発足する見通しとなっている。米国は、離脱したTPPに代わる新たな枠組みとしたい考えであり、バイデン政権は日本のほか、豪等と中身を詰めてきている。ただ、市場アクセス、関税は含まれていないため、どれだけのASEAN諸国が加入するか未定である。我が国は、ASEANにとって少しでも魅力的な内容とするために、デジタル貿易ルール形成、キャパシティビルディングやインフラ整備といった、具体的な中身を提案すべきだと思う。