27日金曜日に開催した国防部会と安全保障調査会の合同会議では、令和4年度版の防衛白書(案)、中国空母「遼寧」等の活動及び中露軍機による共同飛行、5月25日の北朝鮮による弾道ミサイル発射という3点について議論した。

 

5月上旬から中旬にかけて、中国空母「遼寧」と複数艦艇からなる空母打撃群が、沖縄県石垣島南方海域及び沖大東島南浦海域等で、空母 「遼寧」から300回を超える艦載戦闘機と艦載ヘリの発着訓練や対潜哨戒機・偵察機等との連携訓練等を行った。これまで確認された中で我が国に最も近い海域(石垣島の南150㎞)での艦載戦闘機の活動であり、太平洋における中国空母艦載機の飛行確認は昨年12月以来という特性から、空母等の運用能力や遠方の海空域における作戦遂行能力の向上に加え、台湾本島南東部からの攻撃能力向上を企図した可能性が高い。

5月24日、日本近海における中露軍爆撃機の共同飛行については、先日ここでお伝えしたとおりであるが、沖縄本島と宮古島の間を抜け、グアム島近くまで接近した事は、グアムを巡航ミサイル等で爆撃できるとの示威行動とも言える。

5月25日5時59分頃、北朝鮮は1発の弾道ミサイルを発射、最高高度約550kmで約300km飛翔した後、我が国の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。発射されたミサイルは、ICBM級弾道ミサイルと推定しており、本年2月27日等に発射された新型のICBM級弾道ミサイルである可能性もある。また、同日6時42分頃にも1発の弾道ミサイルを発射、最高高度約50kmで約750kmを変則軌道で飛翔し、我が国のEEZ外に落下したものと推定される。ICBMは米国用、変則軌道の短距離弾道ミサイルは日本のミサイル防衛網を破る為のものと言え、日米に対する牽制だ。

 

いずれの事態も防衛省・自衛隊が滞りなく対処に当たり、事態の悪化を回避できたものの、まさしく中国、ロシア、北朝鮮による3正面事態が現実に生起しつつあるような状況である。我が国の外交・安全保障は待ったなしの状況にあり、佐藤としても、我が国自らが自分の国を守るという強い意思を見せつつ、3正面対応が可能な防衛力を政府と共に整備していく。