本日の外交部会では、最近の朝鮮半島情勢及び王毅中国外相による太平洋島嶼国等歴訪について議論した。

 

5月26日から6月4日にかけて、王毅外相は太平洋島嶼国7カ国及び東ティモールを歴訪した(ミクロネシア連邦、ニウエ及びクック諸島とはテレビ会議方式で会談。)。30日、訪問先のフィジーで南太平洋島嶼国とオンライン形式で外相会談を開催した。中国は本会合の成果として、安全保障面での連携強化を謳った協定の締結を提案したが、結果、合意には至らなかった。同協定をめぐっては草案が事前に流出し、ミクロネシア連邦のパニュエロ大統領が「地政学上の緊張を無用に高め、地域の安定を脅かすもの」であるとして拒絶する旨の書簡を太平洋島嶼国の首脳に対して発出、警鐘を鳴らしていたという。

 

これにより、中国と太平洋島嶼国10カ国とが、安全保障等(警察・法執行協力の拡大等)を含む包括的な地域協力合意の草案が調印されるという事態は避けられたが、太平洋島嶼国の優先順位として最も高いのが気候変動のなか、安全保障を無理矢理入れたらまとめるものもまとまらなかったという反省を中国はどう活かしてくるか。おそらく、次の戦略として、中国が得意とする地域としてではなく二国間主義にもう一度シフトしていくのではないか。

 

国際社会の安全保障の枠組みの再構築をめぐってより激しいつばぜり合いが展開されているなか、中国が協定を足掛かりに本格的な太平洋進出を図ったが頓挫したという今回の結果を我が国はチャンスと捉え、日米豪NZとの協力含め戦略的な外交を行っていくべきである。