外交部会等合同部会が開催され、ウクライナ問題について議論した。

 

歴史と伝統あるウクライナの修道院や文化財がロシアにより破壊され続けている。

ユネスコの世界文化遺産委員会の調査によると、先月末時点で140の文化財が破壊されその数は日々増加している。それだけでなくマリウポリの歴史博物館では、ロシアによる強制強奪が行われている。文化財は地域の誇りであり、民族や市民の心そのものである。ロシアによる非情な行為を決して許してはならない。

 

この歴史的文化財の破壊状況は、ユネスコの世界遺産委員会により調査されているが、なんとその議長国はロシアなのだ。

議長国がロシアである世界遺産委員会が、ロシアによる文化財の破壊・強奪について調査している。これは、あたかも加害者が被害者の調書をとるかのような、狂気の沙汰としか思えない状況である。こんな矛盾は認めてはいけない。

しかも、ロシアは「武力紛争の際の文化財の保護に関する条約(ハーグ条約)」の締約国でもあるのだ。非情な破壊と略奪を続けているロシアには議長国面をして文化財保護を語る資格はない。国際社会は、ロシアの世界遺産委員会議長国をはじめユネスコの各種役職を停止させよ、と声を上げるべきである。

 

修道院など歴史的建造物の破壊をうけて、ゼレンスキー大統領は「ユネスコからロシアを除名すべき」という趣旨の発言をした。佐藤も、文化財保護条約を遵守しない非情な侵略国家であるロシアを、ユネスコで役職停止すべきと考える。

 

また、佐渡金山の世界遺産登録にも影響が出ている。

ロシアが議長国であるため、本来であれば6月にロシア内カザンで開催する予定だったユネスコ世界遺産委員会の会合は、ウクライナ侵略を受けて延期となった。

今年の世界遺産登録も、佐渡金山含む来年の遺産登録も、ロシアが議長国である限り宙に浮いたままで、どこで、いつやるのか何ら決まっていない。

国連安保理と同様に、ユネスコの世界遺産委員会も機能していないのだ。

 

日本はユネスコへ多額の拠出金を出しており、世界遺産委員会のメンバーでもある。

ウクライナの文化財を守る抑止力の観点からも、今こそ日本が国際社会の議論をリードし、文化財破壊を続けているロシアの役職停止を訴えていくべきである。