閃光のように | 浅慮相乗のブログ

浅慮相乗のブログ

このブログの内容は私が所属する/した、いかなる組織とも関係ありません。
Twitter ID @senryoAIIT と同じ人間が書いています。

唐突ですが、今ご覧になっているこのブログの画面、あるいは他のサイトの画面で動画をご覧になれますか?動画サイトのように、動画を見ることが目的のサイトではない場所で、表示されている広告が動画だったりしませんか?

動画広告をご覧になったことのある方、"Flas Player" あるいは単に"フラッシュ"と呼ばれることもありますが、この言葉を聞いたことがありますでしょうか?聞いたことが無い、あるいは聞いたことがあるけど、それって何?という方、まずは下記のサイトにアクセスしてみてください。

Flash Player Help / Flash Player の状況確認
https://helpx.adobe.com/jp/flash-player/kb/235703.html

ボールが転がるような動画が表示された方の環境(PC、OS、ブラウザなどをひっくるめてこう呼んでいます)にはFlash Playerがインストールされています。画面の少し下に”Flash Player のバージョンを確認”とあり、四角の中にFlash Playerのバージョンが数字で表示されているはずです。さらにその下にお使いの環境別の最新バージョンが一覧表になっています。

あなたのFlash Playerのバージョンは最新バージョンと一致していますか?

もし、一致していなければ画面の更に下、”表示された結果は?”の下の表の右側、”最新版ではありません”という側にあるアイコンをクリックすれば、最新版をインストールできます。

Flash Playerの古いバージョンには脆弱性、弱いところがあり、悪意或いは単純にミスでそこをつつかれると、動画を見た(画面に表示させた)だけで自分のPCを悪意の人物にいいように操作され、情報を盗み取られたり、PCが使えなくなったり、データを改ざん・抹消・意図しない公開をされたり、web上のコンピュータを停止させるような攻撃(DoS攻撃※)を行ってしまう可能性があります。

※ Dos攻撃とは
   http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20080530/305447/

脆弱性が解消されていない、古いバージョンのFlash Playerがインストールされた環境でインターネットに接続して、いろいろ見ていると、自分のPCを乗っ取られたり、自分ではその気がないのに、ハッカーの真似ごとをしてしまう危険があるということなのです。
※ここでいうハッカーは悪意を持ってシステムを乗っ取ったり、障害を発生させたりするものを指します。

上の書き方はかなり乱暴に要約してありますが、まともに書くとこういうことです。

”アドビシステムズ社の Adobe Flash Player に、ウェブを閲覧することで DoS 攻撃や任意のコード(命令)を実行される可能性がある脆弱性(APSA15-04)が存在します。

これらの脆弱性を悪用された場合、アプリケーションプログラムが異常終了したり、攻撃者によってパソコンが制御されたりして、様々な被害が発生する可能性があります。”
独立行政法人情報処理推進機構
(IPA:Information-technology Promotion Agency, Japan) 
更新:Adobe Flash Player の脆弱性対策について(APSA15-04)(CVE-2015-5122等)(APSB15-18)
https://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20150713-adobeflashplayer.html

この脆弱性による攻撃は既に5月頃から海外サイトなどで報じられてきました。日本でも東京都庁で感染が確認され、そのPCに大量の個人情報が保存されていたとのことです。

”東京都は21日、インターネットのサイト上に表示されたバナー広告を介し、職員のパソコン(PC)9台がウイルスに感染したと発表した。広告をクリックしなくても、表示されただけで感染するプログラムが仕掛けられていたという。
 9台のうち4台には、都税の還付を受けた人の住所や口座番号など約2700人分の個人情報などが含まれていた。PCはいずれも外部への不正な通信を行っており、流出の恐れもあるが、現時点で被害は確認されていないという。”
朝日、読売のニュースサイトからも感染 バナー広告表示、即感染 都職員のPC被害 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/affairs/news/150722/afr1507220004-n1.html

”インターネット上の広告を通じて東京都の職員用のパソコン15台がウイルスに感染し、これらに合わせておよそ2万8000人分の個人情報が保存されていたことが分かりました。”
NHKニュース 感染の都職員用PCに2万人超の個人情報
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150725/k10010165471000.html
※上記リンクは閲覧できなくなっている。
  魚拓 https://archive.is/5Xq1Q

「怪しいサイトを視なければ大丈夫。」と思っていませんか?上記の感染例で閲覧されていたのはニュースサイトで、大抵の方が怪しいとは思わないでしょう。

「むやみやたらにクリックしなければ大丈夫。」と思っていませんか?今回の脆弱性を利用した攻撃では、動画再生は自動で行われていました。

「アンチウイルスソフトを入れているから大丈夫。」と思っていませんか?残念ながら、今回の攻撃にはアンチウイルスソフトは手が回らなかったようです。

どんな予防手段を取っても、「絶対に大丈夫」ということはありません。普段からOSやwebブラウザを含むソフトウェアのアップデート、アンチウイルスソフトのパターンファイル更新等の予防策をこまめにやることが大事です。また、今回のようにPC関係ではない、一般のニュースで取り上げられるような脆弱性はほとんどが影響が大きいものです。このような問題が報じられた場合は、詳しい人に尋ねてみるのも一つの方法ですし、情報セキュリティに関する情報を掲載したサイトがありますので、そのようなところで情報を収集するというのもいいでしょう。いくつか挙げておきますが、他にもあります。

独立行政法人情報処理推進機構
https://www.ipa.go.jp/index.html

情報セキュリティ・ポータルサイト ここからセキュリティ!
http://www.ipa.go.jp/security/kokokara/

総務省 国民のための情報セキュリティサイト
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/index.html

IT系のwebサイトは比較的早く、種々の情報を掲載することが多いようです。

ITpro - エンタープライズICTの総合情報
http://internet.watch.impress.co.jp/

このエントリに書いたことは、できるだけ調べて、間違いを少なくしたつもりですが、対応方法については上に書いたIPAの記事をよく読んで、実行されることをお勧めします。