鎌倉芸術館ゾリステンは鎌倉芸術館専属の弦楽アンサンブルとして芸術館の開館に合わせて誕生し、今回はその51回目のコンサートでした。 芸術館の誕生から昨年が30周年でしたから一年に1・2回コンサートが行われてきたわけです。デビュー当時NHK交響楽団のコンサートマスターであった徳永二男を中心にした鎌倉自慢のアンサンブルです。

オーケストラの迫力とは違って身近に包み込まれるような弦楽アンサンブルは、私には心地よく感じられました。

 

1月6日のプログラムは(鎌倉芸術館開館30周年を記念して)デビュー公演と同じ曲目だそうです。1曲目はご存じ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でした。

この曲には次のような微苦笑する思い出があります。妻が長男を身ごもった時、胎教に良いということを教えられて レコードを買ってきて聞いてもらっていたのですが、後年長男にこれを聞かせましたが、何の反応もなく「ちょっとがっかりした」という話です。

失礼!!関係ありませんね。

当日のこの演奏はもちろん素晴らしいものでしたが、私には3曲目に演奏してくれたチャイコフスキーの「弦楽セレナード」が心に残りました。まあ単純に私の好きな曲だったからでしょうね。

今回の演奏とは関係ありませんが、1992年のサイトウ・キネン・オーケストラの小澤征爾指揮「チャイコフスキー弦楽セレナーデ」の演奏がYouTubeで楽しめます。これは本当にお薦めです。 失礼また脱線!!

脱線ついでに もう一つYouTubeの番組紹介をさせてください。徳永二男のお兄様も著名なチェリストでしたが、死を目前にしたホスピスでのミニ演奏会が「徳永兼一郎/最期のコンサート」としてNHK「にっぽんの点描」という番組で放映されました。(私はこの番組の中で徳永二男を知ったのです)音楽を聴くというより、一人の音楽家の生き様を観る番組です。

音楽にし合わせてみる方は小澤征爾の「弦楽セレナーデ」を

人にし合わせてみる方は「徳永兼一郎/最期のコンサート」を

ご覧ください。期待を裏切ることはありません。

鎌倉芸術館ゾリステンの演奏を聴いて、アンケートを書きながら芸術館の中庭を眺めたのは 私にとっては至福の時でした。

(ライター:山口一郎)