「心に残っている映画ベスト3は?」と聞かれるとその一つに「ニュー・シネマ・パラダイス」が入ります。

この映画を最初に観たのは,50歳を過ぎたころだったと思います。大阪に出張中に時間が空いて、内容を確かめることなく映画館に入ったらこの映画が上映されていました。ところが次の予定があって最後の15分ほどを観ることができなかったのです。トトとアルフレードの魅力ある内容に加えてテーマ音楽が耳を離れず、帰宅してから関東で上映しているところを探して再度鑑賞しに行きました。そこで最後のシーンがいかに重要であったかを深く味わいました。その後TVで完全版(劇場版よりはるかに長くなっていました)が放映され、これを観てさらに忘れられない映画になりました。

この映画のテーマ音楽は聴くたびに懐かしい気持ちになります。CMにも使われているので皆様も一度は耳にされていると思いますし、一度聞くと忘れがたいと思います。YouTubeでは映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の予告編やテーマ音楽の演奏画面が沢山ありますし、エンニオ・モリコーネ自身が棒をふる映像も視聴できます。ぜひ一度YouTubeで視聴し、し合わせてください。

 

鎌倉市川喜多映画記念館では3月下旬に「モリコーネ/映画が恋した音楽家」が上映されました。ジョゼッペ・トルナトーレ監督によるモリコーネの音楽ドキュメンタリーでした。ジョゼッペ・トルナトーレ監督は「ニュー・シネマ・パラダイス」を作った監督です。この映画でモリコーネのインタビューや、彼が音楽を手掛けた作品の監督や出演者・音楽仲間のインタビューで構成されていました。彼が作曲家として認められるまでは 現代音楽のようにいろいろな道具や機材の音をつなげた作曲や、テレビ・ラジオの音楽を担当していたそうで、さらに映画の中で名前の出ない裏方としての活動が長く続けていました。一般的には『荒野の用心棒』の映画音楽を担当したころから、マカロニウエスタンと呼ばれる一連の映画音楽で名声を得たそうです。マカロニウエスタンは知っていたけれどこれがモリコーネの作曲したものだということは知りませんでした。『夕陽のガンマン』『アンタッチャブル』『海の上のピアニスト』などの映画も彼の音楽だそうで 2007年にはアカデミー賞で名誉賞も受賞しているそうです。私はこの3本の映画も見ているのですが、音楽は気にもしていませんでした。つまり私はモリコーネを『Cinema Paradiso』の作曲家としてしか認識していなかったので このドキュメンタリーで初めてモリコーネを知ったというわけです。この映画の中で「今は、クラシック音楽と言われる分野の作曲も手掛けているモリコーネは、100年後には、モーツアルトやベートーベント並び称せられる作曲家とされているだろう」というセリフにも出会いました。

映画を見る時、俳優や監督だけを受け容れるのではなく「音楽家にも し合わせないといけない」と思いました。

そういえばジブリ作品の久石譲さんだって素晴らしい作曲家ですね。

今は、劇場版も完全版もネットで見られますが、川喜多映画記念館では7月に『ニュー・シネマ・パラダイス』が上映されます。123分の劇場版ですが、良かったら大きな画面で映画に 仕合わせてみませんか。

(ライター:山口一郎)