雨にも負けず
風にも負けず
貧にも負けず
命のために尽くす
心のために尽くす
黙々と尽くす
明日の ひかり 信じて
じんせい
とうさんや かあさんは
どうして なんで そんなことに
いっしょうけんめいに なるの
よそのひとは たのしそうに
じぶんのことを しているのに
いちねんじゅう
やすむときが ないことや
びょうきにも なれないこと
なんでやってるの
とうさんや かあさんはね
みてみぬふりが できない
にんげんで
うまれたから
かわいそうな どうぶつたちと
やくそくを すると
うそついたり うらぎることが
できないのです
きっと かみさまや ほとけさまが
そのしごとを くれたのだと
おもって いきていくのです
そういうのも じんせいですよ
しこう
冷たい雪が 空から降りてきては
景色を 白く 塗り替えてゆく
休日の街は 車も人も姿を消して
別人のように 黙り込んでいる
ときおり
屋根から 滑り落ちた雪の
鈍い音
そんな 景色の中を
父は リュックひとつ しょって
餌を待ち続けている
猫たちのもとへと
杖を ついて 歩き始める
自転車ならば 片道15分
今日は ゆっくり歩きで 一時間弱
長靴を履いて
手袋つけて出かけてゆく
具合が悪くなるから 危ないからと
何度言っても 言い聞かせても
自分の体が
ぜんまい仕掛けの時計のごとく
動かなくなる その瞬間まで
きっと 父は 続けるつもりなのだ
週に1・2度 私や 姉が
御用聞きで 通っているが
こんな時は どうにもならない
せいぜい電話で 状況を訪ねて
今日は やめておきなさいと言う
しかし 大丈夫だ の一点張りで
聞き入れない
わかっている
そう わかっているのだ
これは 私たち親子にしか
わからない
じっと ずっと
ひたむきに守られてきた約束で
どんなにそれが
時代の流れに逆らうこととて
信じた道を
ただ一筋に 守り抜くと決めた
父の生き様であり
私たちが見てきた
大きな背中でもあるのだ
そして これは
一日も早く 不遇な猫たちが
いなくなりますようにと
心で支え合う 温かな世の中が
生まれますようにと
40年の間 願い 続けてきた
父の祈り そのものである
そんな餌場の猫たちも
残すところ 老猫と あと数匹
最後まで なんとか
看取ることができそうだ
父に 力を貸して下さる
里親さん ボランティアの方の
協力も大きい
エゴもない 損得もない
同じ思いの稀有な人たちの
紡ぐ 優しさが
どれほど多くの
猫たちの命を救ってきたことか
この行為を
偽善だという人がいる
自己満足だと笑う人もいる
路頭に迷う猫たちこそが
人間の身勝手さの
犠牲者なのだ
せめて 街の片すみに身を寄せて
健気に生きようとしている
この小さき者の
声無き 声を聞き
優しさの ほんのひとかけらを
分け与えて やってもらいたい
それにしても
今日の雪は あと どのくらい
降り積もるのだろうか
この哀れな猫たちの体の上に
見守る人たちの上に
音もなく 降り続く
私は
ただただ恨めしく
空を見上げ
青空と 眩い日差しが
今にも 天から降り注ぎ
この白い冷たい冬の使いを
どこか遠くへ
消し去ってくれないものかと
何にもできずに
窓の外を眺めて
祈り続けている



にほんブログ村