酒屋として避けては通れる日本酒の『アル添』について。

なぜこれほどまでに『アル添』が毛嫌いされているのか?

 

ビールは売ってないけど自分の好きな日本酒と本格焼酎、愛用している児島ジーンズを売っている変な酒屋『酒のしのぶや』三代目店主の佐藤浩一(@saketen51)です。

 

日本酒の裏張りとかの原材料のところに書いてある【醸造アルコール】を日本酒を造るときに添加してあるのを、いわゆる『アル添酒』と呼ばれている日本酒が好きな方々から毛嫌いされている日本酒です。

なぜ『アル添酒』が嫌いなのかお客様に聞いてみると

  • 悪酔いしそうだから
  • 添加物が入ってるから
  • アルコール臭い?

だいたいこんな感じで言われる事が多いですね。

本当に醸造アルコールを受けつけない方もいるようですけどね。

 

そもそも醸造アルコールってなんだよ?って話ですけど、醸造アルコールって聞くとなんか消毒っぽいというか毒々しいというか体に悪そうな響きですけど、実際のところはどういう事なんだっていうと以下のようにキッチリと定められてるんです。

「清酒の製法品質表示基準」(平成元年国税庁告示第8号)により以下のとおり定められている。

「醸造アルコールとは、でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいうものとする。」

(Wikipediaより)

長々と小難しく書いてありますけど簡単にいうと焼酎のことなんですよ。

なので『アル添酒』とか日本酒を造る工程で焼酎を足したもののことなんです。

ここまででちょっとは見方が変わってきましたか?

 

じゃあなんで『アル添』するの?ってことなんですけど、これにはちゃんとした理由があるんです。

 

①酵母たちの発酵を止めたい時に

発酵する事でお酒を造る酵母なんですけど、ここで発酵を止めたい!って時にアル添をするとアルコールによって酵母が死滅するので、これ以上はご苦労さんって事で発酵を止めたい時に使うようです。

②スッキリとした味わいに仕上げたい

アル添することによってお酒にキレを出したり辛口に仕上げる事ができるようになるそうです。

日本酒の日本酒度ってアルコールに含まれる糖分の比重で計るんですけど、糖分が多ければ水よりも重くなるので日本酒度はマイナスの甘口の数値になり、糖分が少ないと水よりも軽くなるので日本酒度はプラスの辛口の数値になります。

日本酒度だけでお酒の味わいは判断できませんが一応の目安としてプラマイ0が中口になるんですけど、ウチで扱っている超辛口のお酒でもプラス15という数値ですが、アル添に使われる醸造アルコールって名の焼酎は度数30度で日本酒度が驚愕のプラス50らしいので当然ながら辛いお酒になりやすいですよね。

 

まぁもっと他にも理由としてはあるんでしょうけど、ちゃんとした理由があってアル添されているんです。

 

それからアル添酒=ダメなお酒ってイメージが強いんですけど、アル添酒って言っても普通酒・本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒と様々な種類のお酒があるんです。

 

アル添酒で美味しいものも多いですしアル添酒だからダメといった先入観を持たずに、美味しいお酒をご自分の舌で探してみませんか?