僕が仕事を始めた数年した時に小・中の同級生から一人の男を紹介された。
その彼は同じ浪江町で酒造りをしている鈴木酒造(蔵元のHPに飛びます)さんの長男で跡取り。
彼も修行を終えて帰ってきたばかりだったと思います。
 
その男の名は鈴木大介
僕は敬意を評して【大ちゃん】って呼んでます。
 
浪江町にあった港町「請戸地区」に蔵元はあり、日本で一番海に近い蔵元と呼ばれていた。
その為か「海水を使っているから酒がしょっぱいんだべ?」と言われたこともあったらしいけど、彼のところは水も米も全て電子分解をかけていたこだわりようで、決してしょっぱいなんてことはないのに噂とは怖いですね。
 
共通の友人を介して知り合う前も親父が問屋さん経由で仕入れていたんですけど、取り扱っていた商品は極一部でした。
知り合ってからは扱っていなかった商品も直接仕入れることでウチでも扱うようになり、品揃えも増えてウチでの彼のお酒の売り上げも上がっていきました。
 
「磐城 壽」
「いわき ことぶき」と読みます。
 
地元浪江町には鈴木酒造さんを含め3つの蔵元さんがありましたが、ウチでの売れ方を見ると地元で一番愛されていた地酒だと思います。
 
酒名からもちろんお祝い事に使われたり贈答品として贈られていましたけど、仏事、いわゆるお葬式なんかにも故人が飲んでいたお酒だからということで、寿という名前なのに供物として使われるくらい地元では愛されていました。
そんな寿を醸す大ちゃんと色々試してオリジナルのお酒を何種類か造ってもらったり、僕も頻繁に蔵元に遊びに行って変わったお酒ないかなぁとか家捜ししてました(笑)
 
当時大ちゃんの蔵は年間400石(一升瓶換算で40,000本)造っていたんですけど、ウチが一番売った年で年間40石、つまり大ちゃんのお酒の1割を売ってまして日本で一番「寿」を売るお店だったらしいです。
 
大ちゃんは浪江の浜育ちということもあってか魚好きで釣るのも食べるのも大好き。
そんな彼が目指したお酒は「旬の魚に合うお酒」と昔言っていたのを覚えています。
 
山形に移転した今でもその考えは変わっていないと思います。
 
そんな彼の思いが実りました。
 
 
Dancyuの3月号に見開き1ページで「124本から選ばれたベストオブ魚酒」というタイトルで堂々の1位を獲得しました!!!
 
磐城 壽
アカガネ
山廃純米
 
僕も自分のことのように嬉しいです。
彼が目指してた魚に合うお酒で選ばれたんですから。
 
ウチでも扱っているこのアカガネですけどスペックなんて関係なしに、僕はじっくりと腰を据えて飲みたいお酒だと思っています。
どちらかというと常温や冷やよりも少し温めた方がこのお酒はいいんじゃないかと思うんですけど、好き嫌いがはっきり分かれてしまう感じもするので、日本酒が大好きでお魚と合わせたい人には是非飲んでいただきたい逸品です。
 
なんか嬉しいですね。
昔から知ってる地元の友達が造るお酒が目指してたことで選ばれるのって本当に嬉しいです。
 
大ちゃんおめでとうーーーーーッ!!!!