僕小さい頃からプロレスが好きで新日・全日・女子プロ色々とテレビで観て興奮してました。
親戚のおばさんのお兄さんが興行主でプロレス興行とかもしていた関係で、招待券を貰うこともあって近所だと観に行ったこともありました。
 
あれは小学校4年か5年生の冬だったかなぁ。
隣の隣町にプロレスが来るらしく招待券を貰ったので学校から急いで帰り、ワクワクしながら会場へ母親と一緒に行きました。
田舎町にしてはちゃんとした選手が来る巡業だったらしく人が多くてビックリしましたけど、早めに着いた僕は会場付近に停めてあった団体のバスを発見!!!
 
選手がいるかもと急いで行くと見てはいけない光景が…。
 
そのバスの中には選手が沢山いたんですけど普段の試合では悪役と正義の味方でやり合っている選手同士が、バスの中では和気藹々と楽しく談笑しているじゃないですか!!!
催し物の戦隊ヒーローショーを見に行った時にヒーローの中の人を見ちゃった感覚…。
 
そんなこともあったんですけど試合が始まれば興奮して忘れてしまいますよね。
名前も知らない若手の選手からテレビでしか観たことがなかった有名な選手まで、地方巡業とはいえ小さかった僕には刺激的な対決が繰り広げられてました。
 
そんな熱い戦いも終盤を迎えいよいよメインイベント!!!
 
タッグマッチで他の3人の選手は忘れてしまいましたけど、残る1人はあの悪名高きアブドーラ・ザ・ブッチャー。
 
 
 
 
じゃなくて
 
 
こっちでした。
 
黒い呪術師の異名を持つブッチャーはほぼ毎試合流血シーンがあり、目を覆うようなシーンもあるんですけどね。
 
そんなブッチャーは地方巡業でも当然のごとく場外乱闘をするわけですよ。
メインイベントの直前に僕は小腹が空いてカップラーメンを食べながら観戦してたんですけど、まさか自分のところに来るなんて思ってないじゃないですか?
のんびり食べながら盛り上がると立ってみたり、また座って食べながら観戦したり。
 
そんな時です。
場外乱闘になり鉄パイプでの反則攻撃からゴングを鳴らす木槌での攻撃により、当たり前のようにブッチャーのひたいが割れ流血!
 
その後リングの周りを選手を追いかけ流れるように場外へと。
 
僕はラーメンを食べながらドキドキ!!!
 
ブッチャーが暴れながら通る前には控えの若手選手が観客を避難誘導し、みんな悲鳴をあげながら逃げ惑っていました。
 
僕の方にだんだん近づいて来るじゃないですか!!!
 
ラーメンを食べていたんですけどラーメンを手放すこともできず、母親に助けを求めようと横を向くと隣で見ていたはずの母親の姿はそこにはありませんでした…。
 
迫り来るブッチャー!
 
母親の姿はない!!
 
手放すことのできないラーメン!!!
 
今だったらなんとかなるかもしれないですけど、当時の僕は食べることと遊ぶことしか趣味がなく、運動は嫌いじゃないしテレビでプロレスを観てイメージトレーニングはできていましたけど、やっぱり目の前に迫って来る恐怖に逃げるしかなかったんです…。
 
ロビーに出ると澄まし顔の母親がいて僕は半ベソをかきながら「なんでいなくなったの!!!」って聞いたんです。
 
「だって買ったばっかのコートに血がついたら嫌だったから」
 
苦い思い出のプロレス観戦でした。