(じいちゃんの形見の指輪です)
 
【酒のしのぶや】初代創業者は先月94歳になったおばあちゃんで、おじいちゃんは材木屋をしていまして浪江の山で木を伐採して製材した物を、当時の常磐炭鉱にダンプで納めて帰りに常磐炭鉱で採掘された炭を浪江町に持ち帰って販売していたそうです。
 
その頃は私が産まれる前なので聞いた話なのですが従業員さんがたくさんいて、おじいちゃんの材木屋さんに就職するのがステータスになっていたそうです。

材木屋さんだった為に製材して出た廃材や切れ端を有効利用しようと、仕事終わりの従業員さんとか町の人達の為にと銭湯を作ったそうです。
僕の上の姉は小さい時に入ったことがあったようですけど、僕が産まれた頃には一般家庭でのお風呂が定着してきたので廃業したんで入ったことがなかったそうです。

銭湯で風呂上りと言えばイメージとしては牛乳でしょうけど【一杯飲みたい】というお客様とか、仕事終わりに銭湯に入って風呂上りに【ちょっと一杯】という従業員さんの声で始まったのが『しのぶや』という酒あり食料品店だったそうです。

しのぶやは創業昭和28年で当初は風呂上りに飲みたいとの声に始めたようですが、酒だけじゃなく所謂『町の小さななんでも屋』的感覚で、鮮魚や青果や雑貨なども置いていたと聞きましたし、本当に昔は量り売りなんかもしていたそうです。
今でも2代目店主の親父に聞かされるのは『俺が店に入ったばっかりの頃は、大きな野菜籠を背負って電車でいわきの市場まで買い付けに行ったもんだ』と。

しのぶやの経緯を調べて聞いてみると気付いた事がありました。

おじいちゃんは材木屋としてやっていたんですが、浪江町で石炭を買うのが難しかったのか、常磐炭鉱に材料を運んでいたので石炭を仕入れて街の家庭に販売をしていたそうで、徐々に会社が大きくなり従業員さんも増えてきたので従業員さんのために何かできないかと銭湯をはじめ、そこから【風呂上がりの一杯】の為に酒あり食料品店(現在のしのぶや)をはじめたそうです。
 
なので言うなれば初代創業者はおじいちゃんなのかも!

仕事なので利益は当然上げなければならないのですが、初代創業者のおじいちゃんは【まず従業員さんの為】で行動していたんですね。

これは僕の同級生のお母さんに聞いた話ですが、その友達のお母さんが僕の叔母さんと同級生で叔母さんの誕生日に家に行くと、当時バタークリームのケーキが当たり前の時代に生クリームのケーキが食べられるのが幸せだったと教えてくれました。

おじいちゃんは従業員さんの誕生日には生クリームのホールケーキをプレゼントしていたようです。

色々と昔のことを聞けば聞くほどおじいちゃんって【誰かの為に何をするか】を考えながら行動していたんだと思ったんです。
 
これをしたら誰が喜んでくれるのか。
これをしたら誰が嬉しく思ってくれるのか。


僕もそんな初代創業者のおじいちゃんのように【誰かに喜んでもらえるような酒屋】として何ができるかを考えながらやっていきたいと思います。