乳房
一人の女性を紹介された。
とても清楚で上品な40代の方で
笑顔がとてもかわいらしい。
明後日が乳ガンの手術で
片方の乳房を取ってしまうという。
『無くなってしまう前に ふと残しておきたくなったんです。』
その言葉から 言い知れない重みと思いが伝わってくる。
なんだろう この気持ち。
少しの緊張・・・というか責任というか
いつにも増して胸が熱い。
『大切に撮らないと』と表現するのがぴったりかな。
いつも どんな時も大切にシャッターを押すけれど
“無くなってしまう乳房”
と
“覚悟を決めた優しく穏やかな笑顔”
が同じ女である私を震わせる。
自分に置き換えてみる
乳房が無くなるってどんなカンジだろう。
目の前のこの人のように こんな穏やかな笑顔で
いられるだろうか。
なんだか異常に感情がたかぶる
涙が溢れる
私は私を 抑えながら
精一杯 私を注ぐ
その強さと美しさと 最後の乳房に