夢野久作の「少女地獄」を読みました。
写真はこの前撮ったものです
私にはとっても刺激的な小説でした。
「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」の三部作で、最初の「何でも無い」が特に好きですね。
姫草ユリ子にはどうも共感してしまいます。あの作中で誰も彼女を憎めないのは、きっと彼女の嘘をつく理由が、誰もが共感してしまうものだったから。
誰にでも「人によく見られたい。カッコつけたい」という欲望があるものだと思っています。
かくいう私は二度もミスユニバースに挑戦し、小説をKindleで出版している。自分の容姿を人前に出す仕事もしている。このようにブログだって書いている。自分の自己顕示欲の強さというものには自覚があります。
私は多分普通の人よりも「きれいに見られたい。かっこよく見られたい」という思いが強いです。でなきゃここまでやってこれなかった。
確かに私はこのような自己顕示欲が強い人間ではあるものの、この欲望が普通の人と違う異質なものだとは思いません。
ユリ子もただ人よりも強かっただけ。それが虚言癖となって現れただけ。ちょっと体調の変化で狂ってしまっただけ。だから誰も彼女を憎めないんじゃないかな……
私は、ユリ子の気持ちが分からなくもない気がします。
「殺人リレー」と「火星の女」について共通するのは、女にとって一度仲良くなった男というのはどうしても憎めないものなんだよな……というところでしょうか。
どんな男でも、一度気を許してしまうと、愛してしまう。そして止まらない。止めることができない。例え身を滅ぼすことになっても。
そういうものなのかな……と思ったり。共感するというよりも、「そういう人もいる」って感想でした。
大好きで何度か読んでいる作品です。どうもこの小説を読んでいると、自分の胸がぐるりと抉られる感覚になる。だから好きです。