私は今日、コンビニとスーパーに行かなければならない。
コンビニもスーパーも自宅から徒歩圏内にあり、どちらから先に行っても問題はない。
どちらから行こうか迷った私は手元にあった10円玉を投げた。
表が出たらコンビニから、裏が出たらスーパーから行こうと思った。
結果は表が出た。
私は財布など必要なものを持ってコンビニに行った。
コンビニで用事を済ませ、店を出ようとした瞬間に目の前に車が突っ込み私にぶつかった。
その衝撃で私は死んだ。
………………
歴史小説を書くとは出来事のこうした流れを自分で勝手に解釈して物語にすることだ。
普通の人間ならばせいぜい「スーパーから先に行っていればこんな不幸にならなかったのに」程度にしか考えないことを、歴史小説家ならば、
「果たしてその用事はコンビニでなければ済ませられなかったのだろうか」
「なぜ『コンビニとスーパーのどちらから先に行こうか』などと悩むのだろうか」
「10円玉などに頼らず自分の価値観に従わなかった結果だ」
などと、自分自身の主観と価値観で勝手に論じて起こったことを脚色する。
たった今下した自分の判断が将来どんな結果になるのか、正解なのか不正解なのかなど、今この時を生きている人間に分かるわけがない。
にもかかわらず、全て終わった後にああだこうだと論じる歴史小説家は大概ズルい商売だと思う。
やっていることは「見た目は子供、頭脳は大人」と言っている名探偵と同じだ。
だから歴史小説は書くのも読むのも面白い。
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