走行から3時間、目が覚めるとシナの知り合いの家に到着。


部屋に入れと招かれたので遠慮無に床に寝そべり寛ぐ。


外は暑いが湿気が無いため室内はひんやりしていて涼しく、簡素なインテリアだが清潔感があってイイ。


どうやらこの家はあのドライバーの自宅らしく彼の肖像写真が飾られていた。





兎に角、声が高く、それと眉が濃い。


動きもコミカルでおもしろい。


ボコボコ(食べろ食べろ)と言い、俺達に食べ物や飲み物を提供してくれた。
「センキュー!」と言うと「オッケー!!!」と勢いよく返してくるので彼の名はオッケー君になった。


一向に出発する気配もなく昼食をとり、チャイを飲み、そのまま昼寝。





起きてもダラダラ。


挙句シナの竿自慢(スポーテックス社好きらしく)が始まりそして夕食が始まった。

いつ行くんだ?





荷物をパッキングし直せと執拗に言われるが水口さんは必要機材が入っていると言って頑なに拒否。


その代わり俺らの荷物を大幅に減らしボートへの積み込みを許してもらった。





村に着いて12時間後ようやく出発を開始する。


周りの住民に日本人が滞在しているのを悟られたく無いようで行動は人気の無い時にするらしい。(外国人を水源地に余り入れたくないようだ)


外で喋っていると静かにしろと言われ、皆口を瞑り黙って行動を開始する。





車は暗闇の道路を走った。


そして水源地に到着すると大きな鉄条門が立ちはだかっていた。


ター君:やばいですwwwやばいですwwwこれヤバい奴ですwww

ドライバーが小走りに管理局の親父にかけ寄り手際良く門を開閉し、車を滑り込ませた。


あまりにもコソコソとするもんだから、こっちまで緊張してくる。


そしてボートの停泊する場所まで到着し、荷物を下ろすと俺たちを乗せた車は颯爽と去っていった。


俺らはボートに満載の荷物と総勢8名を乗せ、暗闇のダム湖をゆっくりと徐行運転した。


禁止区域だからヤバイ。


彼から出る言葉はそれしかなく、走行中も


「静かに」「ライトはつけるな」「フォービドゥン」


ボート全体が変な緊張感に包まれている。


1時間半ほどボートで走行し、ダム湖の最奥地に到着。





すべての荷物を降ろし手際よくテントを張るも・・・・。


俺らの寝るテントはクソみたいなテントだった。





テントというよりなんだろう?


廃棄寸前のビニール小屋みたいな?


テントは既に傾いていて今にも崩壊しそうだった。


もちろんペグで固定なんて気の利いた事もしておらず、風が吹けば飛ぶ感じ。

地面に直で置かれたテント内に下敷きもマットもない。


挙句、入り口のファスナーは完全に破壊され、虫達が自由に行き来できる状態になっていた。

一度試しに寝てみると地面の硬さがダイレクトに体に伝わってくる。同じ体勢で寝るのが10分と持たない。


ター君:やばいです沖山さん!!やばいです沖山さんwwwww沖山さんwwwwwwwwwwおきやまさんwwwwwwwwww

何度となくヤバさを強調するター君、遂に精神が振り切れてしまったのだろうか。

やばい!!ター君の思考が崩壊寸前だ。

まあ、たしかにやばい。

クソみたいなテントに三人が寝る。しかも地面の突起物が良い感じで身体のツボに刺さり、痛すぎて寝ることが出来ない。

これから一週間本当にここで寝るのか?

ところで水口さんはこんな事もあろうかと1人ちゃんとしたテントを持参し、その中で寛いでいるではないか。







用意周到すぎるだろ!!!!?俺たちが荷物減らした意味!!!??


しかし水口さんが自分のテントを持って来ていなかったらあのテントで4人で寝ることになっていたと思うとゾッとした。


ありがとう水口さん!!!ほんとうにありがとう(泣)


シナとハミンもちゃんとしたテントを設置している。


もっと言ってしまえばボートの操船者2名(オッケー君とメティ)はテントは無いが分厚い毛布とマットがあった。





俺たちにあるのはテントだけで毛布すらない!!!


おかしい!?何かがおかしい。


普通まともなテントを俺たちに回してくれるもんだろ?


まともなテントが無いなら予め持って来いと言ってくれよ!!!お前テントあるから安心するなベイビーって言ってたのにこの仕打ちとかひどくネーか!?


おいシナwwww寝るなよwwwwぐっすり眠ってんじゃねえよwwwwおいwwww


明日からの釣行の準備として夜のうちに水辺の散策を開始する。


ダム周辺は岩盤に覆われ尖った岩が散乱していた。


サソリやタランチュラも生息しているから気を付けろと注意をうける。


岸際をライトで照らすとコイの仲間やうなぎ、淡水ウツボ、小魚が眠りながら泳いでいた。

マンガルの姿は見当たらないがかなり魚影は濃そうだ。


夜も遅く俺たちの体力も限界に達したところでクソみたいなテントに3人仲良く川の字に並び、ハムスターのように寄り添って眠りについた。