*長いけど今回はあまり内容はないです。オチはそれなり。


 先日INTERNATIONAL BUSINESS TIMESに掲載された井上香記者によるデマ記事エジプト人タレントのフィフィ、韓国人教授からの「脅迫」「嫌がらせ」を暴露(現在は「脅迫」の文字は削除されている)”について、もう少し記録しておきたい。


*注
 この記事に関して、僕がこれまでに行った反論は以下の2つのエントリである。
INTERNATINAL BUSINESS TIMESによる金明秀教授に対する名誉毀損記事
金明秀先生がフィフィさんの子どもを持ちだして脅したという嘘


 また関連するデマについても、デマの検証で定評のある法華狼さんなどが検証している。
han.orgのサーバーが韓国領事館にある件について」というデマについて-法華狼の日記

 27日には、日頃俗悪な記事を載せる媒体のくせに、ポストセブンが検証記事を掲載している。
「なりすまし」にフィフィさんへの悪口書かれた男性の反論

 ここまで来れば、よほど思考が偏っていない限り、普通の知性がある人には納得してもらえたものと思っている。


 本題に戻る。
 この記事の影響は散々なもので、たちまちのうちに2ちゃんねるに転載され、多数の2ちゃんねるまとめサイトに取り上げられ、“祭り"へと発展した。悪質なデマによって中傷された金明秀先生の大学には沢山の嫌がらせの電話が押し寄せ、Twitter上でも、中傷、嫌がらせ、脅迫の嵐が吹き荒れた。早い段階でデマの検証記事を書き介入した僕のもとにも、おびただしい数の嫌がらせのリプライが届いた。中には、僕の発言を捏造したり、大学への嫌がらせを呼びかけたりするものもあった。






 これらの“祭り”については、INTERNATIONAL BUSINESS TIMESのデマ記事のみが原因とは言えまい。ネット右翼たちは日頃から獲物を探してインターネット上を徘徊しているのだから。
 しかし、ネット右翼たちでさえ、祭りを起こすには仲間を糾合できる大義名分を必要としている。以前Twitter上のネット右翼が在日コリアンのTwitterユーザーの実名や顔写真を暴くなどしたことがあったが、ほとんど誰にも相手にされなかった。未成年者飲酒のように、些細ではあってもルール違反としてやり玉に挙げることができるような行為がなければ、ネット右翼がこれほどまでに大群で押し寄せることは無かったはずである。したがって、フィフィさんの一方的な主張に基づいて事実に反する記事を書いた井上香記者およびそれを掲載したINTERNATIONAL BUSINESS TIMESの責任は重大という他無い。


 問題は、なぜこのような悪質なデマ記事がニュースサイトに掲載されてしまったのかである。
 その手がかりを得るために、井上香記者が書いた他の記事もチェックしてみた。

 例によって色分けしながら全文転載するが、今回の色分けルールは以下である。
1)テレビやネット上にある情報をそのまま転載するだけで書ける情報とそれに基づく記述をピンク
2)オンライン・オフラインの一般的な情報を用いて、複数の情報を突き合わせたり論理的な考察を加えたりしたものを水色
3)記者として本人に取材しなければ得られない情報を
とする。



「わたしたちゴミ箱じゃないんで」「勘違い人間さよなら」元AKB48増田有華のツイッターにファンら困惑 発端はステマ疑惑か 2013年3月23日

DA PAMPのISSAとの熱愛報道を受け、2012年の「AKB48紅白対抗歌合戦」を最後にAKB48を脱退した増田有華(21)が、ツイッターの過激なコメントでファンらを困惑させている。

 「勘違い人間さよなら。なーんていって離れるもんじゃないけどね\(^o^)/月に変わってお仕置きよー\(^o^)/」「ほんとありもしない空想でベラベラ話されんの、信じらんない。意味わかんない。わたしたちゴミ箱じゃないんで」と増田は22日、連続でツイート。こうした増田の言動には胸を痛めているファンも多く、「せっかく色々なものを持っているのに、本人が全部駄目にしている印象」「叩かれてもこらえている、ほかのメンバーを見習ってみては」「この性格とメンタルでは先が心配」など、言動を不安視する意見が続く。

もともと増田は自由なイメージで、飾らない言葉で奔放に書き綴られる言葉がファンを惹きつけている。素の増田の人柄を身近に感じられるツイートや、AKB48のメンバーとの交流の様子を見られるツイートが喜ばれている。

 しかし楽天的なツイートの中に、不穏なものが突如として混ざる。例えば13日の「変態!痴女!って、めっっちゃいい響き。振り切ってる女性って、良くない?笑。変態は正義だとおもふ。はは」「強風のなか、スカートはいていこーって言っただけで、リプ欄が悩殺娘!悪魔!変態!の嵐。元アイドルやぞ!ww嬉しいやないか!もっと言って!」といったまさかの"痴女宣言"が、見ている側をドキリとさせる。また、16日には「あかん。暴れたくなってきた。きた。きたきた。誰か、止めて」という暴走めいたツイート、さらに20日は「急に泣きそうになる。いまの気分にあう音楽なんだろ、隙間を埋めてくれるような」と、情緒不安を思わせるコメントも見られた。

 22日の増田のツイート「勘違い人間さよなら」などは、22日に起こった「ステマ疑惑」報道に対する怒りとも考えられる。

 21日、増田はアメブロで「そういえば、Twitterに最近サプリメントにハマってます!って言ってたところ...皆さんから何のサプリか教えて~と反響の声をいただいていたので今日はそのサプリメントを紹介しますね!!」と、メーカーからもらったという美容サプリの紹介をしている。その内容がステマ記事の文体に似ており、さらに商品購入ページへのリンクがしっかりと併記されていたことから、一部のファンからステマなのではないかと噂され、その後一部で報道されるに至った。

 しかし、昨年複数の芸能人によってアメブロ内での不正な宣伝が横行し、ペニオク詐欺事件として大問題となったのをきっかけに、アメブロでは企業や商品の紹介を掲載する場合のガイドラインを整備した。これに違反した場合記事の削除を求められ、改善されない場合にはアカウント削除といったペナルティが生じる。

 そこで増田のブログを見てみると、23日現在、当該記事はまだ閲覧可能。また、企業からの依頼を受けた紹介記事にはPR用の画像を挿入しなければならないが、それもない。つまり掲載内容に特に問題はないと見られる。増田は、この件について誤解だと言いたいのではないだろうか。

 もっとも、ペニオク詐欺事件からまだ時間はそう経過していないことから、インターネットの掲示板では誤解を受けるような安易な行動は慎むべきだという冷静な意見が目立つ。

 AKB48を脱退した増田はもはやアイドルではない。しかし、現状、増田を見守るファンはAKB48時代からのファンが大多数を占めている。きつい表現での批判も混じりはするが、自分をもう少し大事にしてほしいという点が共通するファンの声を、増田はどのように感じるのだろうか。



東日本大震災 人気マンガ「銀魂」作者のメッセージが、2年を経てなお胸をゆさぶる
 2013年3月12日

 東北地方太平洋沖地震(東北大震災)から2周年を迎えた11日、各界の有名人・著名人が改めてコメントを発表した。その一方で、ネットユーザーの間では、「週刊ジャンプ」(集英社)で連載中の人気マンガ「銀魂」の作者空知英秋(そらち・ひであき)さんによる、東日本大震災へのメッセージつきイラストが話題となっている。

 「悲しい事がたくさん起こって 前向きになんてなれない時もあると思いますが そんな時は 気負わず横でも向いてください みんなついております、みんなで一歩ずつ前へ 進んでいきましょう」という直筆のメッセージに、「銀魂」主人公坂田銀時、新八、神楽など仲間たちが一列に並ぶイラスト。この作品は2011年の震災直後、週刊ジャンプ、および月刊ジャンプSQ(スクエア)の漫画家たちによって企画された被災地応援用の作品で、発表から2年を経た現在もジャンプの公式ホームページ上から閲覧することができる。

この企画では他に「ワンピース」の尾田栄一郎さん、「DRAGON BALL」の鳥山明さん、「家庭教師ヒットマン REBORN!」の天野明さんなど人気作家がこぞって筆をふるっているが、なぜ空知さんの作品に目が向けられるのか。理由のひとつとして「作風」が挙げられるだろう。軽妙な会話のやり取りなど「言葉」を効果的に使っているのが「銀魂」の持ち味で、普段は下品なネタも多く見られるが、重要な回では仲間同士の絆がしっかりと描かれる。そうした中で放たれる主人公のセリフなど、ファンの間では名言といわれているものが多くある。

 「深い」「泣きそう」と、現在もツイッターを通じて話題が広まっている。「がんばって」「がんばろう」という言葉に疲れたとき、胸に響くのではないだろうか。

 空知さんによるイラストメッセージはこちら

 少年ジャンプ.com:http://www.shonenjump.com/j/message/index.html


(転載ここまで)


 ご覧のように、彼女の記事はほとんどがピンク色に染まってしまった。記事の大半はTwitterなどで話題になっていることをそのまま転載しただけであり、考察を加えた箇所はほとんどないし、裏取りをするために本人に取材した形跡は一切ない。
 このような、2ちゃんねるで話題を仕入れれば高校生の小遣い稼ぎのバイトでもできるような仕事をしているのだから、今回のデマ記事は書かれるべくして書かれたと言えるだろう。僕は先日、井上香記者は悪意を持って事実を誤認させるように記事を書いたと書いたが、もしかするとそんな悪意は全くなく、単に恐るべき無能か怠惰のためにあのような記事に仕上がってしまったのかもしれないと思い直しつつある。

 ニュースサイトに寄稿している友人に尋ねたところ、“ニュースサイトの原稿料はとても安い。でもこういう仕事をしている記者の自己責任でもあると思う”との返答だった。
 ようするに、
原稿料が安い
⇒記者は取材の手間をかけずにネットで仕入れた情報をそのまま転載して記事を書く
⇒どうせたいした仕事ではないのだからとニュースサイト側も安い原稿料を設定する
という悪循環の結果、写真週刊誌以下のクオリティの記事が量産されているというのである。

 せめてこの種の媒体を真に受ける人がいなくなって、みのもんたの与太話と同レベルの扱いになればいいのに。と溜息をついたり、ああ、でもみのもんたの与太話でさえ納豆やバナナを店頭から消し去るぐらい信用されてるんだから、人間が賢くなるのは難しいんだろうなあとまたため息をついたりする今日。


 ところで、この井上香記者であるが、強烈に皮肉なことに、スマイリー菊池さんに対する悪質なデマ事件について、スマイリー菊池さんに同情的な記事を書いていた。今回井上記者がやったことは、スマイリー菊池さんを陥れた人々に匹敵する行為であったわけで、教訓としてこの記事も全文引用しておきたい。ついでにこの記事についても、上述のルールで色分けをしておく。



お笑い芸人・スマイリー菊池の受難 ネット社会が生み出した「誹謗中傷」の恐ろしさ
2012年12月20日

  お笑い芸人スマイリー菊池が、10年間に渡る苦悩を19日放送の「ザ・世界仰天ニュース」で告白した。

  きっかけは1990年代に起こった残酷な殺人事件。犯人の一人と本名が同じ、事件発生現場が自身の出身地という偶然から、「スマイリー菊池は殺人犯である」という噂がネット上で広がった。

  ネットが普及し始め、ネチケットという言葉もまだ浸透しない時代背景を受け、次第に加熱する誹謗中傷に芸能人としての活動はおろか、人間らしい生活さえままならない。こうした日々が10年ほど続き、のちにこうした日々を出版するまでになっている。

  スマイリー菊池は放送への反響を受け、19日に自身のブログでネット上での誹謗中傷について「このような経験をするのは僕一人で十分、人の人生を潰そうとすれば自分の人生を潰してしまう。誹謗中傷はやめてください」と訴えた。

  またその一方、ネット上で同様の被害に遭っている人に対しては「 どうか人を好きになる気持ちだけはなくさないで、自分の命や人生を大切にしてください」と呼びかけ、この日の記事を「笑顔を大切に後悔のない人生を共に歩みましょう!」と締めくくっている。