三浦しをんさんの小説を読むのはこの本がはじめてです。
きっかけはアニメで、活字が好きな私には、とても興味深いお話だったのでぜひアニメではなく、しをんさんの言葉で表現を感じたいと思い購入しました。
舟を編む (光文社文庫)
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全員が本の虫と言えるほど小説が好きだとか、文字が好きと言うわけではなくただ熱中して一つの作品(辞書)を作り上げる内容となっています。
馬締 光也(まじめ みつや)
名前の通り、真面目で勤勉すぎて身のまわりの事が手につかなくなってしまう性質をもっている辞書を愛する本作にとって欠かせない重要人物のひとりです。
思いおこせば、重要でない人物はひとりも居ない気がしてきました。笑
彼は辞書に対して並々ならぬ情熱を注いでいて、それはもう周囲の人達が引いてしまうくらいに…。
『大渡海』…本作品でつくりあげる辞書の名前です。
言葉と言う時代に伴い変化する大波を渡るための舟(辞書)を編むのが本作品の名前の由来、それは辞書だけでなく自分の人生をも編むことへつながっているのです。
言葉とは何のためにあるのか…
馬締くん達の言葉を大切にしている姿をみていて今一度、言葉について考えてほしいと感じました、もちろん私もですが言葉は伝えないと伝わらない。そんな当たり前のことが難しくなっている様に感じるのです。
言わなくても分かるだろう、だとか、想いは発信しなくては3割ほどしか伝わらないのです。
文字だけのやりとりなら、なおさら伝わらないのです。
外国語でも同じかもしれませんが、一つの言葉でも複数の意味をもつ日本語は美しくもあり、簡単に人を傷つけることのできる凶器です。
それは他人に対してだけでなく、自分自身へ対しても同じで言葉の選び方のさじ加減で人からの評価は変わってしまう、危うい世界が言葉だと私は思います。
一つの目標に向かいつきすすんでいますが、全員が同じ人間ではなく、同じ生活を送っている訳でもなく、同じ感覚をもっている訳ではありません、個々の心理描写から生活スタイルまでをも垣間見ることができる事もこの小説の魅力だと感じました。
舟を編む/三浦しをん
素敵な作品をありがとうございました。
しの つばさ