タイトルと短編集な所に惹かれて手に取った本書、私が手にした時は、新刊コーナーに並んでいた気がします 笑




主人公達はそれぞれ、何かを失くしていたり、欲していたり、囚われていたりと、まさに女性心理そのものを描いている様に感じ、17編からやる短編集なので一つ一つのお話は短いですがサラリと読め、もしも、のないどこか現実味のある恋愛小説でした。



表題になっている、3センチヒールの靴…彼女はその靴で生きている時間の大半を過ごします。
その靴が出てくるのも、何故3センチなのか?そしてその答えのみしかお話の中には出てきません。

なのに何故、こんなにも惹かれるのか……
それはきっと、私もどこかで3センチヒールの靴を履いて生活しているからかもしれません。それは、実際に履いているのではなく、気持ちで、なんて少しでも良く自分を飾りたい気持ちの現れの可能性もあります。


社会人としては、ヒールの靴ではなく、ぺたんこを履いているのは礼儀マナーとしては違反らしい。そういった社会の中で生きているのはとても息苦しく、そして逆に、人恋しくもなります。疲れきった私を癒してほしい。そんな象徴なのかもしれません。


日常、仕事、恋、失恋、結婚、離婚、不倫……
切っても切り離せないこのワードがつまった短いお話ですが、ギュッと詰め込まれていて、とても濃厚。けれど、あと味は甘すぎないストロベリーアイスの様なお話たち。


通勤途中なんかにも読みやすく、大人女子には是非読んでほしい作品の一つとなりました!










すてきな作品をありがとうございます。
3センチヒールの靴/谷村志穂

しの つばさ